静岡県水産・海洋技術研究所 浜名湖分場


魚病情報

 魚病情報 パンくずリスト矢印 疾病被害の状況と対策 パンくずリスト矢印 ウナギおよびアユ養殖における魚病被害状況

ウナギおよびアユ養殖における魚病被害状況 (平成15年)

平成15年(1〜12月)のウナギおよびアユ養殖における魚病被害状況を把握するために、県内の養殖業者の協力を得てアンケート調査を実施しましたので、その結果についてお知らせします。

1 生産状況

平成5年から14年までの農林水産統計から抜粋した生産統計と、15年のアンケート調査結果から推定した生産状況を第1表に示しました。なお、平成15年の経営体数は当分場で把握できた実働経営体数で、同時に、アンケートの調査実施対象経営体数でもあります。

 

ウナギ養殖の経営体数については、農林水産統計の数字は当分場で把握している数字よりも多くなる傾向があります。14年に当分場で把握していた数字は59軒でしたから、15年には3軒減少したことになり、微減と言えます。なお、農林水産統計と当分場で把握している数字の差は、当分場が実働経営体としているのに対し、農林水産統計は休業している経営体も数えているためではないかと思われます。

 

ウナギの生産量は平成4年以降減少が続いています。15年の推定値は2,000トンを超えていますが、本調査による推定値は農林水産統計の値より多くなる傾向があり、昨年の調査時の推定値も2,000トンを超えていたのに、農林水産統計では2,000トンを割り込んでいたことから、15年も2,000トン前後の値ではないかと思われます。生産金額はほぼ前年なみで、単価は百円強下落しました。12〜13年よりは高い値を維持していますが、それ以前に比べると大きく下落したままとなっています。

 

アユ養殖の経営体数については、15年に休廃業したところが2軒ありました。農林水産統計の数字には、ウナギ養殖と同様休業中の経営体や、他にオトリアユ店なども含まれていると考えられます。実働養殖経営体数は、14年の14軒から、15年は12軒に減少したことになります。

アユ養殖の生産量は、休廃業したうちのひとつが大手の生産者であったため、前年より大きく減少しました。それにより生産額も減少しましたが、単価は前年に引き続き上昇し、11年のレベルまで回復してきました。

 

第1表 ウナギおよびアユの養殖生産状況
ウナギ
アユ
経営体数 生産量
生産額
百万円
単 価
円/kg
経営体数 生産量
生産額
百万円
単 価
円/kg
5
167
5,014
8,870
1,769
28
795
1,185
1,490
6
159
4,599
9,198
2,000
26
775
1,071
1,382
7
132
4,123
8,870
1,952
27
785
993
1.267
8
124
3,940
8,168
2,073
27
791
1,244
1,537
9
117
3,539
6,420
1,814
27
917
1,649
1,798
10
101
2,775
5,400
1,946
26
747
1,158
1,458
11
94
2,664
3,655
1,642
26
567
779
1,374
12
84
2,590
2,947
1,137
24
618
702
1,136
13
77
1,998
2,108
1,055
25
498
559
1,122
14
66
1,961
2,738
1,396
25
488
617
1,264
15
56
2,181
2,797
1,282
12
434
579
1,333
平成5〜14年:農林水産統計
平成15年:アンケート調査(調査票回答率:ウナギ68%、アユ100%、ウナギの数値は、調査により得た数値を回答率で除し全県値を推定したもの。以下の表においても同様)

 

2 魚病発生被害状況

平成4〜14年の魚病被害状況を第2表、平成13、14年の疾病別被害量を第3表に示しました。

 

ウナギ養殖における平成13年の被害量および被害金額はともに前年に比べ増加し、被害量の生産量に対する割合は7.3%となって、4年以来の高率となりました。疾病別の被害量では、大きく増加したのはウイルス性血管内皮壊死症と板状出血症でした。また、パラコロ病も増加しました。ウイルス性血管内皮壊死症と板状出血症は、ともに13年は12年に比べ1/2以下になり大きく減少したのですが、14年は再び大きく増加してしまいました。一方、前年大きく被害が拡大した骨曲がりは14年はやや減少しました。しかしまだ高いレベルにあります。

 

アユ養殖では前年被害が大きく減少しましたが、14年はやや増加しました。疾病別の被害量では引き続き冷水病の被害が最も多くなりました。また、前年発生がなかったシュードモナス病が再び大きな被害を出しました。一方、ビブリオ病は極めて低いレベルで推移しています。

 

第2表 魚病被害状況の経年変化
ウナギ
アユ
被害量;t
(被害割合%)
被害額;百万円
(被害割合%)
被害量;t
(被害割合%)
被害額;百万円
(被害割合%)
5
334.7(6.7)
583.6(6.6)
33.6(4.2)
41.3( 3.5)
6
289.5(6.3)
573.7(6.2)
12.4(1.6)
36.2( 3.4)
7
227.0(5.5)
550.5(6.2)
52.1(6.6)
84.0( 8.5)
8
211.8(5.4)
378.7(4.6)
32.4(4.1)
79.7( 6.4)
9
166.6(4.7)
566.5(8.8)
43.7(4.8)
147.4( 8.9)
10
143.5(5.2)
288.4(5.3)
58.3(7.8)
156.6(13.5)
11
158.1(5.9)
229.4(6.3)
51.0(9.0)
133.1(17.1)
12
177.0(6.8)
202.0(6.9)
56.4(9.1)
63.4( 9.0)
13
129.4(6.5)
110.0(5.2)
25.3(5.1)
46.4( 8.3)
14
163.4(8.3)
188.0(6.9)
29.7(6.1)
50.4( 8.2)
15
148.3(6.8)
179.2(6.4)
36.4(8.3)
59.7(10.3)
平成15年調査票回答率:ウナギ70%、アユ100%
被害割合とは、それぞれ生産量あるいは生産額に対する割合

 

第3表 平成14年および15年の疾病別被害量 (単位:kg)
ウ ナ ギ ア   ユ
病  名
H14
H15
病  名 H14 H15
ウイルス性血管内皮壊死症
53,573
43,997
ビブリオ病 40 1,070
点状出血症
632
6,930
冷水病 14,200 32,300
板状出血症
32,731
31,662
シュードモナス症 7,100 0
カラムナリス病
2,557
2,369
細菌性鰓病 100 1,000
滑走細菌性鰓病
1,686
2,154
真菌性肉芽腫症 5,000 0
パラコロ病
29,289
24,719
ミズカビ病 0 300
寄生虫症
1,686
287
グルゲア症 2,000 100
骨曲がり
29,626
32,944
その他 0 0
その他
0
0
不明 1,300 1,500
不明
11,660
3,805
     
合 計
163,440
148,327
合 計 29,740 36,370
平成15年調査票回答率:ウナギ70%、アユ100%

 

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