静岡県水産・海洋技術研究所 浜名湖分場


魚病情報

 魚病情報 パンくずリスト矢印 ウナギの疾病 パンくずリスト矢印 パラコロ病

パラコロ病

<原因>

細菌性の疾病。原因細菌は腸内細菌科のEdwardsiella tarda。グラム陰性の運動性短桿菌(0.5〜1×1〜3?m)で周毛を持つ。通性嫌気性。普通寒天培地に発育するが、コロニーは比較的小さく、25℃24時間培養で直径1mm程度の灰白色で光沢のある正円形コロニーを形成する。SS寒天、DHL寒天およびXLD寒天などの選択鑑別培地では中心部が黒色で周辺部が透明な比較的小さなコロニーを形成する。発育可能温度は15〜42℃、至適温度約31℃、発育可能塩分濃度0〜4%。

<症状>

鰭や腹部の発赤のほか、肛門の拡大突出およびその周辺の発赤腫脹が多くの病魚 に見られる。これは腎臓の後部に膿瘍病巣が形成され、腎臓が腫大し、さらには開口して膿が流れ出たことに起因するもので、肛門付近以外の腸には顕著な病変 は認められないのが普通である。また、病魚の中には前腹部が著しく発赤腫脹したり、腹壁に孔が開いているものが見られる。これは肝臓を冒された病魚に見ら れる症状である。肝臓と腎臓とを同時に冒された病魚も見られないこともないが、どちらか一方が主として冒されている場合が多い。なお、病死魚は無残な感じ で悪臭が強い。
か つての露地池養鰻の時代は、夏を中心とする高温期に発生する成魚の疾病で、発生は散発的であり被害もあまり大きくなかった。しかしハウス加温養鰻が盛んに なり、常に高水温で飼育するようになってからは、餌付け直後のシラスウナギから成長段階や季節を問わず発生し、重大な被害を与えるようになった。シラスウ ナギについては、餌付け餌料としてイトミミズを用いると、餌付け開始後1週間位で極めて高率に発生し、かつ急性であるため大きな被害を出しやすい。しかし 近年人工餌付け飼料が普及し、イトミミズにとって代わるようになってからは被害が減少しているようである。

<治療>

治療には抗生物質や合成抗菌剤の経口投与が有効である。用いる薬剤の選択に際しては、ウナギのパラコロ病に対して使用が認められている水産用医薬品の中から、薬剤感受性検査を行って最も効果的なものを選択する必要がある。

<予防>

シラスウナギにおける発病を予防するためには、あらかじめ収容する池の消毒を徹底するとともに、餌付けにイトミミズを用いる場合は、イトミミズを薬浴し清浄な流水中に1両日おいたものを与えるのが望ましい。

 

参考文献

(若林久嗣:ウナギのパラコロ病.魚病学(江草周三編)恒星社厚生閣(一部改変)より)

 

▲画面トップへもどる

 

お問合せ先

浜名湖分場 〒431-0214 静岡県浜松市西区舞阪町弁天島5005-3
電話番号:053-592-0139 FAX:053-592-0906 E-mail:suigi-hamanako@pref.shizuoka.lg.jp