魚病情報 アユの疾病 シュードモナス病(細菌性出血性腹水症)
シュードモナス病(細菌性出血性腹水症)
<原因>
細菌性の疾病で、病原細菌はPseudomonas plecoglossicidaである。本細菌は広範囲の温度および塩分で増殖または生存が可能であり、環境水中でも長期間の生存が可能であると考えられる。
<症状>
種苗を導入後おおよそ10日 目以降の稚魚から出荷サイズのアユまで発生する。先行する冷水病対策のために飼育水を加温したり、投薬すると発生しやすく、その際給餌量を制限しないと高 い死亡率になる。外見的には肛門の拡張および出血が見られ、血液を含む大量の腹水の貯留が最も特徴的な症状である。ただし、個体あるいは事例によっては腹 水の貯留が全く認められない場合もある。
<治療>
本疾病の原因菌はアユに使用が認められているすべての水産用医薬品に耐性を示すため、抗菌剤による治療は困難である。また、広範囲の温度および塩分で増殖または生存が可能であることから、塩水浴や昇温処理も効果は期待できないと思われる。
<予防>
冷水病対策の処置をした後に発生しやすい。加温処置は冷水病の原因菌より高温 を好む本疾病原因菌の増殖にとって好都合であるし、冷水病を完全に抑えるような投薬を行うとシュードモナス病への顕著な菌交代現象が認められる。本疾病の 発生を軽減するためには、投薬後に給餌量を制限することが肝要である。
<参考資料>
中井敏博:養殖アユの細菌性出血性腹水症.養殖2000年8月号
アユの冷水病研究(全国湖沼河川養殖研究会)
シュードモナス病罹病魚 肛門の拡張および出血が見られる(矢印) |
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