遺伝的標識を利用したマダイ放流魚の再生産効果評価手法　栽培漁業再生産効果評価基礎研究（平成11〜15年度）

研究のねらい

稚魚や稚貝の放流に期待される効果の一つに、放流魚が将来親になって次世代を残すことにより資源を増やす効果（再生産効果）がある。しかし、この効果については、これまでほとんど何もわかっていない。そこで、ＤＮＡタイプを「標識」として利用し、この効果の評価を行う手法を検討した。

研究の成果

内浦湾のマダイを対象として、天然群と放流魚のＤＮＡ分析を行ったところ、平成11〜15年にかけて、もともと天然群には少ない、ある特定のＤＮＡタイプを持つマダイが多く放流され、その結果として、内浦湾にこのＤＮＡタイプを持つ放流マダイが増加したことがわかった。もし放流マダイが次世代を残しているとすれば、内浦湾で生まれてくるマダイの中にもこのＤＮＡタイプを持つマダイが増えてくるはずである。今後、このＤＮＡタイプを遺伝的な「標識」として追跡することで、マダイ放流魚の再生産効果の評価を行っていく予定である。

内浦湾のマダイのＤＮＡタイプ組成の変化