静岡県水産・海洋技術研究所 浜名湖分場


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アユのワクチン

水産用ワクチン

水産用ワクチンとは

ワクチンは、ウイルスや細菌などの微生物から作られる医薬品です。ワクチンを動物に接種することにより、動物の体内には免疫ができます。それが、ワクチンを接種された動物を伝染病から守ります。
ワクチンの中で水産動物に用いられるものを水産用ワクチンといいます。水産用ワクチンは動物用医薬品の一種であり、薬事法に基づく国の承認、検定等各種の制度により、その品質、有効性および安全性が保障されています。
昭和63年8月にアユのビブリオ病不活化ワクチンの製造が承認されて以来、現在までに6種類の水産用ワクチンが承認されています。


魚病対策と水産用ワクチン

魚病対策は、現在は抗生物質などによる細菌感染症の治療が主体となっていますが、水産用ワクチンは、疾病にかかることを予防するとともに、残留等の心配もないことから、安全な水産物の生産に寄与するものといえます。
また、水産用ワクチンにより、魚病対策は、治療から予防へと進展することが期待されます。
しかしながら、ワクチンは、投与された動物の体内に作られる免疫により病気を予防するため、投与される動物自体が健康でなければ十分な免疫が作られない可能 性があり、そのため、水産用ワクチンの効果を最大限に発揮させるためには、その適正な使用はもとより、何よりも普段からの適切な飼育管理、衛生管理が基本 であり、かつ重要です。

 

水産用ワクチンの購入および指導機関の指導
水産用ワクチンは正しく使用して初めて所期の効果が得られるものであり、その使用にあたっては、都道府県の水産試験場、家畜保健衛生所等の指導機関の指導を受けて行う必要があります。
したがって、水産用ワクチンの使用に先立って指導機関に連絡するとともに、ワクチン投与前に指導機関の指導を受けて、水産用ワクチン使用指導書の交付を受けてください。
そして、その指導書を水産用ワクチンの販売店舗に提示して必要量を購入してください。
また、水産用ワクチンの使用時にも、指導機関の指導を受けてください。


水産用ワクチンの使用にあたっての注意
ワクチンは、特定の伝染病を予防することを目的として使用される医薬品ですので、ワクチンを投与したからといって、対象とする疾病以外のものには効果はありません。普段からの衛生管理に気を配ってください。
ワクチンは、投与された動物体内で生じる免疫により疾病を予防するものですので、時期をとらえて適切に投与しなければ、所期の効果を発揮できません。病気の発生時期を踏まえ、あらかじめ投与することが重要です。

 

水産用ワクチン使用にあたっての注意事項
・ワクチンの使用にあたっては、必ず、指導機関の指導を受けてください。
・注射ワクチンの使用にあたっては、必ず指導機関等の接種技術の指導を受けてください。
・ワクチンの使用前には、使用説明書をよく読み、用法・用量、使用上の注意等に従って使用してください。
・ワクチン投与前には、魚の健康状態をよく観察し、異常がある場合には投与しないでください。
・開封したワクチンは一度に使い切ってください。
・ワクチンは、2〜5℃の暗所に保存し、凍らせないでください。
・使用済みの使用ワクチン液は、原則として、下水道に廃棄してください。
「水産用医薬品の使用について 第17報 農林水産省消費・安全局衛生管理課」より

アユのビブリオ病不活化ワクチン

製造

製造用菌株:Vibrio anguillarum血清型A型(PT479
種菌を製造用培地に接種し、2325℃で2448時間撹拌培養したものを元培養液とし、その元培養液をさらに製造用培地に接種し、2325℃で2440時間通気撹拌培養したものを本培養液とする。この本培養液にホルマリン(日局)を0.3v/vの割合に加え、2325℃で3時間不活化したものを原液とする。原液を混合したものを最終バルクとし、最終バルクを500mlのバイアル瓶に500ml分注し密栓したものを小分製品とする。

 

効能・効果

アユのVibrio anguillarum血清型A型によるビブリオ病の予防

 

用法・用量

ワクチンを飼育水で10倍、または100倍に希釈したものを使用ワクチン液とする。10倍希釈使用ワクチン液を用いる場合には、1,000ml当たり総体重500g以下のアユを通気しながら2分間浸漬する。100倍希釈使用ワクチン液を用いる場合には、1,000ml当たり総体重200g以下のアユを通気しながら10分間浸漬する。
なお、10倍希釈使用ワクチン液は10回まで反復して使用できる。

 

主な使用上の注意

10倍希釈使用ワクチン液は3g以上、100倍希釈使用ワクチン液は0.6g以上のアユに使用すること。
アユは、24時間餌止めした後、ワクチン処理すること。
アユの免疫獲得能が低下する恐れがあるので、水温13℃以上で使用すること。

 

具体的な使用方法

1 養魚池の周辺に、直射日光を避けられるような作業場を選ぶ。
2 ワクチンは、成分が沈殿している場合があるので、使用前によく振る。
3 使用方法により、10倍または100倍に希釈して使用する。


(1) 10倍希釈により使用する場合
例えば、10gの使用ワクチン液を作成する場合には、1gのワクチン原液に9gの飼育水を加えて10倍希釈とする。容器は、浸漬作業を行うのに十分な大きさのものを用いる。10gの使用ワクチン液では1回につき総魚体重5kgまで処理でき、最高10回まで繰り返して使用することができる。
適量のアユを使用ワクチン液に2分間浸漬し、養魚池に戻す。
作業終了後、使用ワクチン液を廃棄する。


(2) 100倍希釈により使用する場合
例えば、100gの使用ワクチン液を作成する場合には、1gのワクチン原液に99gの飼育水を加えて100倍希釈とする。容器は、浸漬作業を行うのに十分な大きさのものを用いる。100gの使用ワクチン液では総魚体重20kgまで処理できるが、この場合は反復しての使用はできない。
適量のアユを使用ワクチン液に10分間浸漬し、養魚池に戻す。
作業終了後、使用ワクチン液を廃棄する。

 

「魚類防疫技術書シリーズ[アユとニジマスのビブリオ病ワクチン()日本水産資源保護協会」より
「水産用医薬品の使用について 第17報 農林水産省消費・安全局衛生管理課」より

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お問合せ先

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