魚病情報
魚病情報 水産用医薬品情報 薬の使用基準
薬の使用基準
水産用医薬品の使用に際して
有効成分とは
使用基準とは
未承認医薬品の使用の禁止について
個人輸入の禁止について
自己製造の禁止について
医薬品の使用記録をつける
水産用医薬品とは
承認を受けた医薬品とは
効能・効果のある水産動物とは
用法とは
用量とは
休薬期間とは
ウナギに使用できる医薬品
アユに使用できる医薬品
水産用医薬品の使用に際して
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有効成分とは
- 病原菌の増殖を抑止するなど、その医薬品本来の効果をあげる成分のことです。
- 医薬品の添付文書等には「成分」といった記載があり、医薬品中の有効成分名とその含有量がわかるようになっています。
- たとえば「水産用テラマイシン散」という水産用医薬品の添付文書には、有効成分が塩酸オキシテトラサイクリンという抗生物質で、医薬品1g中に100mg(力価)含まれていることが記載されています。
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使用基準とは
- 薬事法に基づいて、動物用医薬品の使用の規制に関する省令(使用規制省令と呼んでいます)で定めた医薬品の使用方法の基準です。
- 使用規制省令では、養殖水産動物に対して残留に特に注意が必要な医薬品の種類を指定しています。そして指定された動物(使用対象動物と呼んでいます)に 指定された医薬品(対象医薬品と呼んでいます)を使用するときは、使用できる動物の種類、用法・用量、休薬期間を守ることを法律で義務付けて、医薬品の残 留の防止を徹底しているわけです。
- 使用基準に違反した場合は「3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はそれを併科する。」との規定により罰せられます。
- 使用基準に含まれる医薬品は、容器や袋に次のような表示があります。
「注意−使用基準の定めるところにより使用すること」
添付文書等には「使用基準」の内容が記載されています。
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未承認医薬品の使用の禁止について
- すべての養殖水産動物が対象
- 未承認医薬品とは承認を受けていない薬剤で医薬品として使用されるものをいいます。
例:ホルマリン、マラカイトグリーン、「工業用○○」、「食品添加物用○○」、「研究用○○」など
- 承認を受けた医薬品と同一の有効成分のものであっても、未承認の医薬品は使えませんので、注意が必要です。
例:「工業用過酸化水素」、「食品添加物用過酸化水素」など
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個人輸入の禁止について
- 外国から自らの養殖水産動物に使用することを目的として医薬品を輸入することは禁止です。
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自己製造の禁止について
- 自らの養殖水産動物に使用することを目的として医薬品を製造することは禁止です。
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医薬品の使用記録をつける
- 動物用医薬品の使用の規制に関する省令により、抗生物質および合成抗菌剤を使用したものは、使用記録を付けるよう規定されました。
- 使用した医薬品については、@使用した年月日、A生け簀または池番号等使用した場所、B使用した水産動物種と尾数、C使用した医薬品の種類(有効成分または品目名)、D使用量、E水揚げできる年月日、を記録するようにしてください。
- 消費者の信頼を得るためには医薬品の使用状況など、生産現場の情報を開示することが重要です。
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水産用医薬品とは
- 水産動物の疾病の診断、治療、予防に使用されることが目的とされるもの。
例:抗生物質、合成抗菌剤、駆虫薬、ビタミン剤、消毒薬、ワクチン
- または、水産動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的で使用されるもの。
例:麻酔薬、ホルモン剤
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承認を受けた医薬品とは
- 薬事法に基づく製造の承認を受けた医薬品で、直接の容器または直接の被包に薬事法第50条に基づく事項(製造業者名、製造番号、水産用医薬品にあっては「動物用医薬品」の文字)が記載されています。
- 承認を受けた水産用医薬品については、必ず「動物用医薬品」の文字が記載されています。
- 「工業用○○」、「食品添加物用○○」、「研究用○○」は、承認された医薬品ではありません。これらを治療等の目的で使用した場合、薬事法違反となりますので注意してください。
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効能・効果のある水産動物とは
- その医薬品が特定の病気の治療等に有効であり、副作用も問題にならないことが試験データにより明らかになっている水産動物のことです。
- 効能・効果のある水産動物については体内に医薬品が残留している期間が明らかになっていますが、それ以外の水産動物では残留期間は明らかでないため、当該医薬品の使用はできません。
- 「水産用テラマイシン散」ですと、添付文書の効能・効果の欄に「あゆ」はなく、用法・用量、休薬期間が不明なので、「あゆ」には使用できません。
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用法とは
- 医薬品の使用方法のことです。
- 水産動物の場合、医薬品を餌料に混ぜて与える経口投与法、医薬品を溶かした水に一定時間水産動物を漬けておく薬浴法が一般的です。
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用量とは
- 医薬品を使用してよい最大量のことです。経口投与法では、1日に水産動物の体重1kgあたりに与える量、薬浴法では水に溶かす量で示します。
- それより多くの量を与えると副作用を起こしたり、医薬品の残留期間が通常より長くなることがあります。医薬品の添付文書等には、有効成分の量で示されている場合と、他の成分も含めた医薬品本剤の量で示されている場合があります。
- 例えば、ひとつの生簀の中に「ぶり」を総量2トン飼育している場合、「水産用テラマイシン散」ですと、
塩酸オキシテトラサイクリンの用量が50mg(力価)/kg・日となっていますので、
50mg(力価)/kg・日×2トン(2,000kg)=100g(力価)/2トン・日となり、
「水産用テラマイシン散」を1日に有効成分の量として100g(力価)より多くを与えてはいけないことになります。
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休薬期間とは
- 医薬品を最後に与えてから、その水産動物を水揚げしてもよい時期になるまでの期間です。
- 水産動物に医薬品を与えた時に、水産動物の体内から医薬品が完全に消失するのまでの時間をもとに決定されています。ですから、休薬期間内に水産動物を水揚げすると、医薬品が体内に残ったままの水産動物を出荷してしまう恐れがあります。その場合、食品衛生法違反となることもあるので、食品としての安全性を確保する観点からも、これは絶対に避けなければなりません。
- 「水産用テラマイシン散」ですと、「ぶり」の水揚げ前30日間は使用できないことになります。
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参考文献