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静岡県水産・海洋技術研究所 伊豆分場

 研究成果の紹介  磯焼けからの回復過程

磯焼けからの回復過程

研究のねらい

磯焼けとは、カジメやサガラメといった大型海藻の群落(海中林)が急激に枯死する現象をいいます。その結果、海藻や海藻を餌としているアワビやサザエなど の貝類、海中林をすみかとしている磯魚やイセエビ等の漁業生産が減少します。

磯焼けが発生した後、自然に回復しない場合、藻場造成が行われます。しかし、どの季節にどの大きさの藻体を育成すればいいのかといった具体的目標が明ら かではありません。そこで、藻場造成の指針を得るために天然における磯焼けからの回復過程を明らかにしました。

研究の成果

高水温などの環境条件によりカジメの成体が枯死した(磯焼け)後には、冬から春にかけて幼体が着生すること、さらにこれらの幼体群のうち、越夏した群が核 となり磯焼けから回復することがわかりました。

越夏の条件は、@水温が低めで推移すること、A出現した幼体が夏前に十分成長していることでした。

以上の結果から、藻場造成には、@夏の前に十分生長させた幼体群を磯焼け海域に出現させる、あるいはA夏のあとに1歳群を磯焼け海域に出現させることが 必要であると考えられます。

正常なカジメ群落
葉部が消失し、茎だけとなったカジメ(磯焼け)

正常なカジメ群落

葉部が消失し、茎だけとなったカジメ(磯焼け)

1990〜1992年発生群の発生 翌年の生残状況とそれに関する要因

1990〜1992年発生群の発生
翌年の生残状況とそれに関する要因

縦軸は8月の水温、横軸は一株重量、円の大きさで1uの全重量を表す。

夏期までに十分生長し、水温が低めで推移した1992年発生群は越夏し、磯焼けから回復した。十分生長しても水温が高かったり(1990年)、水温が低く ても生長していない(1991年)と越夏しなかった。

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