トリコディナ症
<原因>
原生動物性の疾病。繊毛虫類のTrichodina属の寄生により起こる。本寄生虫の上面観は直径数十?mの 正円形、側面観は上側部が隆起したベルのような形をしている。下面側の周縁には長い繊毛が放射状に密生し、その運動によって水中を遊泳し、魚体上を滑走す る。伝播は水を介する間接接触による。主な食物は上皮細胞崩壊物やそれらを栄養源として増殖する細菌などであり、直接上皮組織から栄養をとるとか、それを 食害することはない。
<症状>
寄生時には下面をくぼませて吸着するし、また繊毛運動によって動き回るので、 多数が寄生したときにはそれらの刺激は宿主に影響し、粘液の異常分泌、さらには炎症をもたらす可能性がある。また、上皮の過形成も起こる。さらには上皮組 織の退行性病変、壊死、崩壊につながることもある。こうなると宿主は衰弱し、とくに鰓の病変が著しいときには致命的な呼吸障害を伴うことがありうる。
<予防>
他の疾病や水中の有毒物質によって、またハンドリングにより生じるスレなどによって鰓や皮膚などに生じた病変部はトリコディナにとって食物が豊富であり、増殖が促進されうるので、これらトリコディナの増殖要因を生じないようにする。
参考文献
(江草周三:トリコジナ症.魚病学(江草周三編)恒星社厚生閣より)
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