
海況、資源動向の情報:一都三県サバ漁海況検討会等
待合室「ふきゅう」
海況、資源動向の情報:一都三県サバ漁海況検討会
令和6年1月〜6月の県内漁海況予測
令和6年漁期サバたもすくい網漁、棒受網漁の見込み(令和5年1〜6月)
令和7年02月07日:静岡県水産・海洋技術研究所
1.海況
(1)黒潮(2025年1〜6月)
(2)説明
1月8日現在、黒潮は遠州灘沖をS字状に北上した後に東進し、銭洲海域や三宅島周辺を通過後、北東に向きを変え房総沖を流れている。水温は、伊豆諸島北部海域は20〜21℃、三宅島周辺及び銭洲海域は21℃になっている。
黒潮は期間を通じてA型で推移する。蛇行最南下部から駿河湾〜石廊埼沖を北上した後、銭洲付近で向きを東〜北東に変え、伊豆諸島北部や三宅島付近を通過する。このため、これらの海域では例年よりも漁場水温が上昇し、20℃以下になりにくい。房総沖では概ね接岸傾向で推移し、離岸は一時的である。また、黒潮からの暖水に覆われやすい。
|
 |
▲画面トップにもどる
2.マサバの漁況
(1)予測(2025年1〜6月)
(ア)来遊量と漁獲量
(2)説明
(ア)来遊量と漁獲量
2025年1〜6月の伊豆諸島海域におけるマサバ来遊量及び漁獲量は、2024年を下回る見込みである。これは、水産研究・教育機構が公表するマサバ太平洋系群の資源量予測及び近年の海洋環境を踏まえて導き出した結果である。
まず、同機構によれば、当系群の資源量(暫定値)は2018年をピークに減少傾向を示している。伊豆諸島海域に来遊するのは成熟した親魚が中心となるが、卓越的な加入があった2013年級群以降は成長遅延(由上ら「令和3(2021) 年度マサバ太平洋系群の資源評価」)が認められることから、成熟率を3歳魚で30%及び4歳以上で100%と仮定して親魚量を推定し、2025年1月時点の親魚量は235千トンと予測した。これは低調であった前年並である。
次に、海洋環境については、黒潮続流が北偏・沿岸寄りに流れる状態が2022年以降継続しており、2025年1月中旬もこの状況が続くと予測されている(2024年第4回東北海区海況予報)。加えて、2024年12月時点の東北海域における緯度経度5分ごとで集計した漁場水温の平均は20.2℃(前年:18.4℃、2019〜2023年平均:16.1℃)と前年を上回る高温である。このことから、海洋環境は前年以上に悪化しており、親魚の南下は前年よりも困難であると判断されることから、来遊量は前年を下回ると考えられる。
このような状況下、2022年以降の黒潮続流の北偏によって親魚量に対する漁獲割合(漁獲量/親魚量)は極めて低い状態が続いており、漁獲努力量がほとんど変わっていないことを考慮すると、この低い漁獲割合は海洋環境の変化に伴う来遊量の減少を反映した結果である。特に2024年は最低値を記録した。2025年の漁獲割合を仮に過去5ヵ年(2020〜2024年)の平均で試算すると、漁獲量は876トンとなり、2024年を上回る見込みである。一方で、過去最低値を記録した2024年の漁獲割合で試算した場合、漁獲量は356トンとなり、2024年並の水準になる。しかし、これらの試算は楽観的な予測に過ぎず、実際には来遊量が前年を下回ると考えられるとともに、漁獲努力量が前年同様であるため、漁獲量は前年を下回ると予測する。
※予測1:2025年の漁獲割合を過去5ヵ年平均とした場合の試算値
(イ)漁期・漁場
2025年の伊豆諸島海域におけるマサバ初漁日(漁期で初めてまとまった漁獲がある日)は、2月下旬以降となり近年で最も遅くなる可能性がある。なお、漁場は北部海域(大島千波・利島周辺)に形成される見込みである。これは、2024年12月時点における各地のマサバ水揚げ状況、東北海域の緯度経度5分ごとで集計した漁場水温の平均、FRA-ROMSUで示された海況をもとに推定した結果である。
2016〜2022年の初漁日は1月下旬〜2月上旬であったが、黒潮続流が北偏し東北海域の水温が上昇した2023年と2024年は南下が遅れ、いずれも2月中旬が初漁となった(表2)。2025年は、12月時点の東北海域の水温が前年を上回る高温であることに加え、1月中旬まで黒潮続流の北偏が継続する見通しであることから、回遊の遅れが一層顕著になると推定される。
マサバの南下については2つのグループに分けて考えた。1つ目は、常磐北部で漁獲 されている尾叉長27〜30cm主体の魚群である。このうち明け3歳魚の一部が成熟に伴い 南下すると考えられる。常磐北部は2024年12月時点で主漁場であり、銚子漁港では月間3,000トン程度が水揚げされているが、2023年の同時期は犬吠埼沖が主漁場であったことから、2024年は南下が遅れていることが伺える。2つ目は、宮城県女川定置網で12月23日に35トンの水揚げが確認された南下群と思われる成魚の魚群(尾叉長31〜35cm主体)である。これらの水揚げは例年よりも遅く、南下の遅れが明らかである。
また、例年12月から1月にマサバが水揚げされる千葉県外房海域(定置網・ハイカラ 釣り・調査船)では、1月9日時点でも南下群と考えられる魚体が確認されていない。このことも、南下が例年より遅れていることを示している。
なお、マサバの伊豆諸島海域への来遊は、大型の魚群が先行し、小型の魚群が遅れて来遊することが知られている。しかし、12月時点の分布を見ると、小型の魚群(常磐北部)が大型の魚群(女川定置網)よりも南部に位置している。このため、2025年は例外的に先に小型の魚群が漁獲され、その後に大型の魚群が漁獲される可能性がある。
1〜2月の伊豆諸島海域では黒潮が沿岸寄りを流れ、2月上旬までは北部海域でも20℃を超える水温が予測されている。しかし、2月中旬〜下旬は北部海域に18℃の等温線が近づくとみられ、マサバはこの付近へ集群すると考えられる。また、3月以降も黒潮流路はA型基調で推移し、水温はやや高め〜極めて高めで推移すると予測されている(令和6年度第2回太平洋いわし類、マアジ、さば類長期漁海況予報会議)。このことから、比較的水温が低い北部海域で漁場が形成され続ける可能性が高い。
(ウ)魚体
伊豆諸島海域で漁獲されるマサバは、3歳魚(尾叉長27〜30cm)が主体となり、4歳以上(31〜35cm)が混じると予測される。この予測は、12月時点の主漁場である常磐北部の魚群を主体とし、12月23日に女川定置網で水揚げされた南下群と思われる成魚の魚群が合流する可能性を考慮して導いたものである。
12月1日に常磐北部で操業された北部まき網の漁獲では、27〜30cmの2歳魚(明け3歳魚)が主体であった。一方、12月23日の女川定置網で水揚げされたマサバは31〜35cmが主体であり、銚子漁港で得られたマサバの年齢査定結果との比較から、3歳魚(明け4歳魚)が中心と推定される。なお、女川定置網で確認されたような南下群と思われる成魚の魚群は、現時点でほとんど確認されていないことから、主体は常磐北部の小型の魚群になると考えられる。
|
|
▲画面トップにもどる
3.ゴマサバの漁況
(1)予測(2025年1〜6月)
(ア)来遊量と漁獲量
(イ)漁期・漁場
(ウ)魚体
(2)説明
(ア)来遊量と資源量
2025年1〜6月の棒受網CPUEは2024年1〜6月を上回ると考えられる。しかし、2023年からは棒受網操業が著しく減少しており、7〜11月の来遊量を反映できていないと考えられる。また、2024年7〜11月の棒受網・たもすくい漁の漁況経過が芳しくなかったため、前年並〜下回ると考えられる。
(イ)漁期・漁場
2025年1月以降も黒潮大蛇行が継続することに加え、黒潮続流の顕著な北偏が継続していることから予測した。。
(ウ)魚体
2023、2024年は北部海域である大島千波や利島での操業がほとんどを占めている。かつて三宅島周辺海域で漁獲されていた個体よりも大きいため、直近2年の1〜6月の漁獲物の尾叉長組成から判断した。また、年齢に関しては最近5年のAge-Length-Keyの平均から判断した。
|
|
なお、印刷用には、「こちら」をご利用ください(PDFファイル)。
詳細版については、「こちら」をご覧ください(PDFファイル)。
▲画面トップにもどる
|