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静岡県水産・海洋技術研究所


海況、資源動向の情報:一都三県サバ漁海況検討会等

 待合室「ふきゅう」 パンくずリスト矢印 海況、資源動向の情報:一都三県サバ漁海況検討会 パンくずリスト矢印 令和5年1月〜6月の県内漁海況予測

令和5年漁期サバたもすくい網漁、棒受網漁の見込み(令和5年1〜6月)

令和5年01月11日:静岡県水産・海洋技術研究所

1.海況

(1)黒潮(2023年1〜6月)

黒潮大蛇行が継続し、A型基調で推移する。
蛇行北上部は概ね伊豆諸島海域の西側に位置し、伊豆諸島北部海域は、概ね暖水に覆われ、沿岸水温は新島から三宅島周辺は「高め」〜「極めて高め」、大島周辺は「高め」で推移する。房総沖では、接岸傾向で推移するが、一時的に離岸することがある。水温は「平年並」〜「やや高め」で推移する。
伊豆諸島北部では1月上中旬は17〜19℃、1月下旬〜2月上旬は16〜19℃で推移する。三宅島及び銭洲周辺では、1月上旬〜2月下旬まで19〜20℃で推移する。

(2)説明

1月10日現在、黒潮は、御前埼に接近した後東進し、銭洲〜御蔵島付近を通過した後、房総沖で離岸し、北東に流れている。水温は、伊豆諸島北部19.5〜20.5℃、三宅島20〜20.5℃、銭洲海域20.5〜21℃であった。
黒潮は期間を通じてA型で推移し、伊豆諸島海域の西側を北上する。その後、御前埼沖で向きを東に変え、銭洲周辺や三宅島周辺を通過しやすい。このため、これらの海域では漁場水温が上昇する。また、北部海域へも黒潮からの暖水が波及しやすく、波及時には漁場水温が上昇する。一方、房総沖では低気圧性渦の接近により一時的に離岸するものの、概ね接岸傾向で推移し、黒潮から暖水が波及しやすい。

黒潮流型図

※平年並み=平年値±0.5℃程度、やや高め・やや低め=平年値±1.0℃程度、高め・低め=平年値±1.5℃程度、かなり高め・かなり低め=平年値±2.5℃程度。

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2.マサバの漁況

(1)予測(2023年1〜6月)

 (ア)来遊量と漁獲量

4歳魚(2019年級群)は前年を大きく下回る。5歳(2018年級群)以上は前年を上回る。全体としては漁獲状況の悪かった前年並かやや下回る。

 

 (イ)漁期・漁場

初漁は2月上旬以降に伊豆諸島北部海域(利島〜大室出し)となる。主漁場は漁期を通して伊豆諸島北部海域となり、盛漁期には銭洲周辺海域及び三宅島周辺海域にも漁場が形成される。漁期後半は伊豆諸島北部海域が主漁場となる。

 

 (ウ)魚体

26〜33cmの4歳魚と32〜38cmの5歳以上となる。

 

(2)説明

(ア)来遊量と漁獲量

来遊資源は、2019年級群(4歳魚)と2017年級群(5歳魚)以上が主体となる。来遊資源量は前年を上回ると推定されたが、近年のマサバ太平洋系群の成長は遅くなっており、成熟開始年齢の高齢化も見られ、過大評価の可能性があることから、前年並〜やや下回ると予測された。

 

(イ)漁期、漁場

まき網及びハイカラ釣り並びに棒受網、たもすくい網の漁況経過から、1月上旬時点では、主群は鹿島灘沖〜犬吠埼沖周辺海域には滞留しておらず、前年の最終日(金華山沖)よりは南に位置すると考えられるが、南下は例年より大幅に遅れていると推定される。一方、黒潮は現時点では房総沖での離岸は見られず、沿岸には黒潮からの暖水が波及している。このため、同海域での魚群の南下は妨げられている可能性がある。しかし、水研機構の海況予測モデル(FRA-ROMS II)や気象庁の予測モデルによると、房総沖では1月下旬に黒潮がやや離岸する可能性があることから、昨年より遅い2月上旬以降に伊豆諸島北部海域で初漁になると考えられる。一方、伊豆諸島海域では、少なくとも2月下旬まで黒潮は銭洲〜三宅島付近を東進し、同海域は暖水に覆われやすいため、伊豆諸島北部海域が主漁場となる。一時的に黒潮が南偏し、黒潮や黒潮からの暖水波及が弱まると銭洲周辺海域にも漁場が形成され、一時的に三宅島周辺海域にも漁場が形成される。

 

(ウ)魚体

伊豆諸島海域へ来遊するマサバは主に2歳以上であったが、2013年級群以降、成長の遅れが顕著となり、成熟するのは3歳魚の一部と4歳以上となっている。
北部まき網で2022年11月以降に漁獲されたマサバは、23〜27cmの明け2歳魚(2021年級群)〜明け4歳魚(2019年級群)が主体となり、31〜39cmの明け5歳魚(2018年級群)以上が混じった。
12月は23〜26cm前後、体重200g以下の魚体が漁獲の主体であり、南下群と考えられる魚群が漁獲されたのは12月27日(漁場:金華山沖)で、32〜38cm主体であった。
このことから、漁期初めの魚体は32〜38cmの明け5歳魚(2018年級群)以上が主体となる。その後26〜33cmの明け4歳魚(2019年級群)を主体に30p未満の明け3歳魚(2020年級群)が混じる。

マサバ写真

 

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3.ゴマサバの漁況

(1)予測(2023年1〜6月)

 (ア)来遊量と漁獲量

前年を下回る。

 

 (イ)漁期・漁場

期間を通じて、伊豆諸島北部海域(ひょうたん瀬、高瀬、利島等)に漁場が形成される。黒潮流路によって、一時的に銭洲周辺海域や、三宅島周辺海域にも漁場が形成される。

 

 (ウ)魚体

尾叉長28〜35cmの3歳魚(2020年級群)、31cm以上の4歳(2019年級群)以上を主体に、27p以下の1歳魚(2022年級群)、26〜30cmの2歳魚(2021年級群)が混じる。

※年齢は年初に加齢し2023年1月時点で表す。魚体は尾叉長で表す。

 

 

(2)説明

(ア)来遊量と漁獲量

全年級群を合わせた来遊量の予測には、年別の1〜6月と前年7〜11月の棒受網CPUE(操業隻数あたりの漁獲量)の相関関係(図1)を使用した。今回の予測期間(2023年1〜6月)における来遊量は、前年7〜11月の棒受網CPUEの値から前年同期の88%と推定され、来遊量は前年をやや下回ると考えられた。これまでの1〜3歳魚の年級群別の来遊量予測には、小川港所属のさば棒受網船の標本船日報から求めた海区ごとの1揚網あたりの漁獲量と年齢別漁獲重量から算出した各年級群の年別の前年7〜11月の資源密度指数の累積値(以下、累積資源密度指数)と、1〜6月の累積資源密度指数との相関関係から予測していた。しかし、近年の資源量低下に伴い予測値と実際の値が合わない可能性があった。そこで資源状態を表す指標として、令和3年度ゴマサバ太平洋系群資源評価において示された親魚量(SB)と、MSYを実現する水準となる親魚量(SBmsy)の比(以下、SB/SBmsy)を用い、SB/SBmsyが1以上と1未満の年に分けて分析した。その結果、SB/SBmsy<1の年の年級群の場合、明け1歳魚、2歳魚及び3歳魚において、前年の7〜11月の累積資源密度指数と1〜6月の累積資源密度指数の間に相関関係が見られた(図2)。令和3年度ゴマサバ太平洋系群資源評価によると、2015年以降、資源全体のSB/SBmsyは1未満であるため、今回の来遊予測ではSB/SBmsy<1の年の年級群における資源密度指数を用いた。
1歳魚(2022年級群)について、2023年1〜6月の累積資源密度指数は前年の487%と推定されたが(図2)、7〜11月の棒受網による漁獲割合は3.9%であった。そのため、来遊量は前年を上回ると考えられるが、予測期間における漁獲の主体とはならないと考えられる。
2歳魚(2021年級群)について、累積資源密度指数は前年の411%と推定されるが(図2)、2022年7〜11月の棒受網による漁獲割合は19.3%であった。そのため、来遊量は前年を上回ると考えられるが、予測期間における漁獲の主体とはならないと考えられる。
3歳魚(2020年級群)について、累積資源密度指数は前年の676%と推定され(図2)、2022年7〜11月の棒受網による漁獲割合は48.7%であった。そのため、来遊量は前年を上回り、予測期間における漁獲の主体となると考えられる。
4歳(2018年級群)以上について、昨年まで行ってきた予測では4歳以上の残存資源は多くないとしていたが、2021年及び2022年の1〜6月の漁獲割合はそれぞれ43.7%、64.6%と漁獲の主体であった。当該期間に漁獲される4歳以上の多くは三陸海域から南下回遊してくる産卵親魚と思われるため、現時点でその来遊量を推定するのは困難であるが、直近2年の傾向から今漁期においても主体となると考えられる。水産研究・教育機構水産資源研究所が試算したゴマサバ太平洋系群における2023年1月時点での4歳以上の資源量は、前年より減少傾向にあることから、来遊量は前年を下回ると考えられる。

 

(イ)漁期・漁場

例年では三宅島周辺海域や銭洲周辺海域が主漁場となるが、令和4年は黒潮大蛇行により、当該海域周辺が黒潮の影響を強く受けたことで漁場となる機会が極端に少なかったこと、加えて令和5年1月以降も黒潮大蛇行が継続することから予測した。

 

(ウ)魚体

年齢については、漁場に来遊する年級群ごとの来遊予測、2022年7〜11月の漁獲状況から予測した。魚体については、近年のたもすくい網漁、棒受網漁の年齢別尾叉長モードから予測した。

ゴマサバ写真


 

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詳細版については、「こちら」をご覧ください(PDFファイル)。

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