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静岡県水産・海洋技術研究所


海況、資源動向の情報:一都三県サバ漁海況検討会等

 待合室「ふきゅう」 パンくずリスト矢印 海況、資源動向の情報:一都三県サバ漁海況検討会 パンくずリスト矢印 令和4年1月〜6月の県内漁海況予測

令和4年漁期サバたもすくい網漁、棒受網漁の見込み(令和4年1〜6月)

令和4年01月07日:静岡県水産・海洋技術研究所

1.海況

(1)黒潮(2022年1〜6月)

黒潮大蛇行が継続し、A型基調で推移する。

黒潮は、銭洲周辺及び三宅島を通過することが多く、これらの海域は水温が「高め」基調になる。伊豆諸島北部海域は、黒潮からの暖水波及時には水温が「高め」となる。房総沖は接岸傾向で、水温は「平年並」〜「やや高め」になる。

漁場水温は、北部海域では1月上旬18〜19℃、1月中旬16〜17℃、1月下旬〜2月 下旬15〜17℃で推移する。三宅島周辺では、1月上旬18〜20℃、1月中旬〜2月上旬17〜18℃、2月中〜下旬16〜17℃で推移する。銭洲周辺では、1月上旬19〜20℃、同中旬19℃、同下旬〜2月中旬17〜18℃、同下旬16〜17℃で推移する。

(2)説明

1月5日現在、黒潮は、四国沖から紀伊水道沖で蛇行した後、北上部が潮岬に接岸し、銭洲〜三宅島付近で南へ迂回した後、房総沖を北東に流れている。漁場水温は、北部海域18〜19℃、三宅島19℃、銭洲海域19〜20℃であった。
黒潮は期間を通じてA型で推移し、伊豆諸島海域の西側を北上する。その後、熊野灘〜遠州灘沖で向きを東に変え、銭洲周辺や三宅島周辺を通過しやすい。このため、これらの海域では漁場水温が上昇する。また、北部海域へも黒潮からの暖水が波及しやすく、波及時には漁場水温が上昇する。一方、房総沖では期間を通じて概ね接岸傾向で推移し、黒潮から暖水が波及しやすい。

黒潮流型図

※平年並み=平年値±0.5℃程度、やや高め・やや低め=平年値±1.0℃程度、高め・低め=平年値±1.5℃程度、かなり高め・かなり低め=平年値±2.5℃程度。

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2.マサバの漁況

(1)予測(2022年1〜6月)

 (ア)来遊量と漁獲量

全体としては前年を上回る。

 

 (イ)漁期・漁場

初漁は1月中〜下旬に伊豆諸島北部海域(利島〜大室出し)となる。主漁場は漁期を通して伊豆諸島北部海域となり、盛漁期には銭洲周辺海域及び三宅島周辺海域にも漁場が形成される。漁期後半は伊豆諸島北部海域が主漁場となるが、5月以降低調となる。

 

 (ウ)魚体

29〜32cm主体の4〜5歳魚に、34〜39cm主体の6歳以上が混じる。

 

(2)説明

(ア)来遊量と漁獲量

来遊資源は、加入量が卓越した水準である2018年級群(4歳魚)と近年(最近10年)の平均を下回る水準の2017年級群(5歳魚)及び加入量が近年の平均程度の水準の2016年級群(6歳魚)以上が主体となり、来遊資源量は前年を上回ると推定された。

 

(イ)漁期、漁場

まき網及びハイカラ釣り並びに棒受網、たもすくい網の漁況経過から、1月上旬時点では、南下群の主群は犬吠埼沖周辺海域にあり、前年よりは南に位置するものの、例年より南下は遅れていると推定される。一方、黒潮は現時点では房総沖での離岸は見られず、沿岸には黒潮からの暖水が波及している。このため、同海域での魚群の南下は妨げられている可能性がある。しかし、水研機構の海況予測モデル(FRA-ROMS)や気象庁の予測モデルによると、外房沖では1月中〜下旬に黒潮がやや離岸する可能性があることから、昨年よりやや早く1月中〜下旬に伊豆諸島北部海域で初漁になると考えられる。一方、伊豆諸島海域では、少なくとも2月下旬まで黒潮は銭洲〜三宅島付近を東進し、同海域は暖水に覆われやすいため、伊豆諸島北部海域が主漁場となる。一時的に黒潮が南偏し、黒潮や黒潮からの暖水波及が弱まると銭洲周辺海域にも漁場が形成され、一時的に三宅島周辺海域にも漁場が形成される。

 

(ウ)魚体

北部まき網で2021年11月以降に漁獲されたマサバは、28〜35cmの明け4歳魚(2018年級群)〜明け5歳魚(2017年級群)が主体となり、26〜28cm前後の明け3歳魚(2019年級群)と35cm以上の明け6歳(2016年級群)以上が混じった。このうち11月は31〜34cm前後が主体であり、南下群の漁獲が本格的となった12月の魚体には34〜36cmの大型魚も加わった。
このことから、漁期初めの魚体は34〜36cmの明け6歳魚(2016年級群)〜明け7歳魚(2015年級群)主体となるが、その後28〜35cmの明け4歳魚(2018年級群)が主体となる。明け3歳魚(2019年級群)は30cm未満が多く、伊豆諸島海域への来遊は少ない可能性がある。

マサバ写真

 

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3.ゴマサバの漁況

(1)予測(2022年1〜6月)

 (ア)来遊量と漁獲量

前年を下回る。

 

 (イ)漁期・漁場

期間を通じて、伊豆諸島北部海域(ひょうたん瀬、高瀬、利島等)に漁場が形成される。黒潮流路によって、一時的に銭洲周辺海域や、三宅島周辺海域にも漁場が形成される。

 

 (ウ)魚体

尾叉長26〜33cmの2歳魚(2020年級群)を主体に、26cm以下の1歳魚(2021年級群)、29〜37cmの3歳魚(2019年級群)、30cm以上の4歳以上(2018年級群以上)が混じる。

※年齢は年初に加齢し2022年時で表す。魚体は尾叉長で表す。

 

 

(2)説明

(ア)来遊量と漁獲量

全年級群を合わせた来遊水準の予測には、年別の1〜6月と前年の7〜11月棒受網CPUEの相関関係を使用した。今回の予測期間(2022年1〜6月)の来遊水準は前年の77%と推定される。また、明け1〜3歳魚の年級群別の来遊予測には、例年、小川港所属のサバ棒受網船2隻の標本船日報から算出された、各年級群の7〜11月の資源密度指数と翌年1〜6月の資源密度指数の相関関係から予測していたが、近年の資源量低下に伴い、予測精度が低下している可能性があった。そこで資源状態を表す指標として、令和2年度ゴマサバ太平洋系群資源評価において示された親魚量(SB)と、期待される漁獲量がMSYとなる親魚量(SBmsy)の比(以下、SB/SBmsy)を用い、SB/SBmsyが1以上と1未満の年の年級群に分け、SB/SBmsyが1未満の年の年級群における資源密度指数を用いて予測を行った。
1歳魚(2021年級群)について、2021年7〜11月の累積資源密度指数は前年の1,301%と大きく上回ったが(図2)、7〜11月の棒受網による漁獲割合は6%であった。そのため、来遊量が極めて少なかった前年を大きく上回ると考えられるが、今漁期における漁獲の主体とはならないと考えられる。
2歳魚(2020年級群)について、累積資源密度指数は前年の458%と推定され(図2)、また2021年7〜11月の棒受網による漁獲割合は53%であった。そのため来遊量は前年を大きく上回り、今漁期における漁獲の主体となる。
3歳魚(2019年級群)について、累積資源密度指数は前年の66%と推定され(図2)、また2021年7〜11月の棒受網による漁獲割合は16%であった。そのため来遊量は前年を下回り、今漁期における漁獲の主体とはならない。
4歳魚(2018年級群)以上について、これまで4歳魚以上の残存資源は多くないと予測していたが、2021年1〜6月には三陸海域からの回遊と思われる4歳魚以上の産卵親魚が多く漁獲されたため、当該漁期においては漁獲割合が44%と主体となった。2021年7〜11月の棒受網による漁獲割合は18%であったため、現段階では今漁期における漁獲の主体にならないと思われるが、前年と同様に三陸海域から産卵親魚の来遊があった場合には漁獲の対象となる。

 

(イ)漁期・漁場

例年では主漁場は三宅島周辺海域や銭洲周辺海域であるが、令和3年は黒潮大蛇行により、当該海域周辺が黒潮の影響を強く受けたことで漁場となる機会が極端に少なかったこと、加えて令和4年1月以降も黒潮大蛇行が継続することから予測した。

 

(ウ)魚体

年齢については、漁場に来遊する年級群毎の加入水準、2021年7〜11月の漁獲状況から予測した。魚体については、近年における棒受網の年齢別尾叉長モードから予測した。

ゴマサバ写真


 

なお、印刷用には、「こちら」をご利用ください(PDFファイル)。

詳細版については、「こちら」をご覧ください(PDFファイル)。

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