ここから本文です。

静岡県水産・海洋技術研究所


海況、資源動向の情報:一都三県サバ漁海況検討会等

 待合室「ふきゅう」 パンくずリスト矢印 海況、資源動向の情報:一都三県サバ漁海況検討会 パンくずリスト矢印 令和3年1月〜6月の県内漁海況予測

令和3年漁期サバたもすくい、棒受網漁業の見込み(令和3年1〜6月)

令和3年01月18日:静岡県水産・海洋技術研究所

1.海況

(1)黒潮(2021年1〜6月)

黒潮大蛇行が継続し、一時的な流路変動はあるものの、概ねA型基調で推移する。

黒潮は伊豆諸島海域の西側を北上後、銭洲周辺及び三宅島を通過することが多く、これらの海域の水温は平年より「高め」で推移する。しかし、一時的に黒潮が伊豆諸島海域の東側を北上するときがあり、このとき銭洲周辺や伊豆諸島北部海域(利島〜ひょうたん瀬)は冷水域に入る。房総沖では接岸傾向で推移し、水温は「平年並」〜「やや高め」になる。

伊豆諸島北部海域では2月中旬まで18〜19℃で推移する。三宅島周辺では、1月中は19〜20℃、2月中は18〜19℃で推移する。銭洲周辺では、1月上〜中旬は18〜19℃、 同下旬〜2月下旬は18℃前後で推移する。

(2)説明

1月6日現在、黒潮は八丈島の東側を北上後、三宅島付近で向きを北東に変えて、房総沖を流れており、伊豆諸島北部海域は20℃ほど、三宅島と銭洲海域は21℃ほどであった。

黒潮は期間を通じてA型で推移し、伊豆諸島海域の西側を北上することが多い。このとき伊豆諸島北部海域、三宅島、銭洲周辺へは暖水が波及しやすく漁場水温が上昇する。しかし、一時的に黒潮が伊豆諸島海域の東側を北上することがあり、このとき伊豆諸島北部海域や銭洲周辺は冷水域に覆われやすくなる。一方、房総沖では期間を通じて概ね接岸傾向で推移し、黒潮から暖水が波及しやすい。
黒潮流型図

※平年並み=平年値±0.5℃程度、やや高め・やや低め=平年値±1.0℃程度、高め・低め=平年値±1.5℃程度、かなり高め・かなり低め=平年値±2.5℃程度。

▲画面トップにもどる

 

2.マサバの漁況

(1)予測(2021年1〜6月)

 (ア)来遊量と漁獲量

全体としては前年を上回る。3歳魚の来遊状況により、前年並となる。

 

 (イ)漁期・漁場

初漁は1月下旬に伊豆諸島北部海域(利島〜ひょうたん瀬)となる。主漁場は漁期を通して伊豆諸島北部海域となり、盛漁期には銭洲周辺海域及び三宅島周辺海域にも漁場が形成される。漁期後半は伊豆諸島北部海域が主漁場となるが、5月以降低調となる。

 

 (ウ)魚体

29〜35cm(4歳以上)主体に漁獲される。

 

(2)説明

(ア)来遊量と漁獲量

来遊資源は加入量が近年(最近10年平均)の平均程度の水準である2017年級群(4歳魚)と2016年級群(5歳魚)及び加入量が近年の平均を下回る水準の2015年級群(6歳魚)以上が主体となり、来遊資源量は、前年を上回ると推定された。一方で、来遊資源量には3歳魚の一部が計上されているが、2013年級群以降成長が遅くなっていることから、想定以上に小型・未成熟魚が多い場合は3歳魚の来遊量が少なくなり、全来遊資源は前年並みとなる可能性がある。

 

(イ)漁期、漁場

1月上旬時点では、南下群の主群は依然として金華山沖〜常磐北部海域にあり、前年より南下は大幅に遅れていると推定される。一方、黒潮は外房沿岸に接岸傾向で推移すると予測され、外房海域で魚群の南下が妨げられる可能性があることから、初漁日は1月下旬になると思われる。また、その時期漁期伊豆諸島北部海域では18〜19℃程度、三宅島周辺では19〜20℃、銭洲周辺では18℃前後で推移するため、初期漁場は北部海域に形成されると考えられる。また2016年漁期以降では、盛漁期には三宅島周辺海域に加え、銭洲海域でも漁場が形成されるようになったことから、今漁期も同様と思われる。

 

(ウ)魚体

北部太平洋まき網の漁獲物の情報から、漁期初めの魚体は32〜36cmの2016年級群(明け5歳魚)〜2014年級群(明け7歳魚)主体となる。漁期中盤以降27〜29cmの2017年級群(明け4歳魚)の割合が増加する。明け3歳魚(2018年級群)はいまだに魚体の小さいものが多く、伊豆諸島海域への来遊は少ない可能性がある。

マサバ写真

 

▲画面トップにもどる

 

3.ゴマサバの漁況

(1)予測(2021年1〜6月)

 (ア)来遊量と漁獲量

前年並。

 

 (イ)漁期・漁場

三宅島周辺海域、銭洲周辺海域が主漁場となる。マサバ主体の操業では、ゴマサバは混じる程度となる。

 

 (ウ)魚体

31〜36cm(3歳魚)主体に29〜31cm(2歳魚)及び33cm以上(4歳以上)が混じる。

 

(2)説明

(ア)来遊量と漁獲量

全年級群を合わせた来遊水準の予測には、年別の1〜6月と前年の7〜11月棒受網CPUEの相関関係を使用した。今回の予測期間(2021年1〜6月)の来遊水準は前年の95%と推定される。また、明け1〜3歳魚の年級群別の来遊予測には、例年、小川港所属のサバ棒受網船2隻の標本船日報から算出された、各年級群の7〜11月の資源密度指数と翌年1〜6月の資源密度指数の相関関係から予測していたが、近年の資源量低下に伴い、予測精度が低下している可能性があった。そこで資源状態を表す指標として、令和元年度ゴマサバ太平洋系群資源評価において示された親魚量(SB)と、期待される漁獲量がMSYとなる親魚量(SBmsy)の比(以下、SB/SBmsy)を用い、SB/SBmsyが1以上と1未満の年の年級群に分け、SB/SBmsyが1未満の年の年級群における資源密度指数を用いて予測を行った。
1歳魚(2020年級群)について、2020年7〜11月の累積資源密度指数は前年並みであり、来遊量は前年を上回ると考えられるが、7〜11月の棒受網による漁獲割合は0%であったことから、前年同様漁獲の主体とはならないと考えられる。
2歳魚(2019年級群)について、累積資源密度指数は前年の69%と推定されたため、来遊量は前年を下回る。また、2020年7〜11月の棒受網による漁獲割合は9%であったことから、漁獲の主体とはならない。
3歳魚(2018年級群)について、累積資源密度指数は前年の127%と推定されたため、来遊量は前年を上回る。また、2020年7〜11月の棒受網による漁獲割合は56%であったことから、漁獲の主体となる。

4歳魚(2017年級群)以上について、2020年7〜11月の棒受網による漁獲割合は18%であったが、残存資源は多くないと考えられるため、漁獲の主体とはならない。

 

(イ)漁期・漁場

近年の棒受網漁業・たもすくい網漁業の主漁場が三宅島周辺海域、銭洲周辺海域に形成されることから予測した。

 

(ウ)魚体

年齢については、漁場に来遊する年級群毎の加入水準、2020年7〜11月の漁獲状況から予測した。魚体については、近年における棒受網の年齢別尾叉長モードから予測した。

ゴマサバ写真


 

なお、印刷用には、「こちら」をご利用ください(PDFファイル)。

詳細版については、「こちら」をご覧ください(PDFファイル)。

▲画面トップにもどる

 

お問合せ先

静岡県水産・海洋技術研究所
〒425-0033 静岡県焼津市鰯ヶ島136-24
電話番号:054-627-1817  FAX:054-627-3084  E-mail:suigi-web@pref.shizuoka.lg.jp