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静岡県水産・海洋技術研究所


海況、資源動向の情報:一都三県サバ漁海況検討会

 待合室「ふきゅう」 パンくずリスト矢印 海況、資源動向の情報:一都三県サバ漁海況検討会 パンくずリスト矢印 平成25年1月〜6月の県内漁海況予測

一都三県サバ漁海況検討会(平成25年1〜6月)

平成25年01月10、11日:一都三県水産研究機関(東京都島しょ農林水産総合センター、神奈川県水産技術センター、静岡県水産・海洋技術研究所、千葉県水産総合研究センター)

1.海況

(1)黒潮(2013年1〜6月)

黒潮は、1月下旬以降にC型から離岸型のN型となる。2月後半〜3月に、小蛇行の到達に伴い、B・C型または離岸型のN型で推移する。4月以降はN型で推移する。

伊豆諸島北部海域は1月中旬〜2月前半に冷水に覆われるが、一時的に暖水波及がある。その後、小蛇行の到達に伴い、2月下旬に暖水に覆われる。3月以降は冷水域となり、一時的に暖水が波及する。

伊豆諸島北部海域の水温は、1月中旬〜2月中旬は平年並〜やや低め、2月後半は高め〜極めて高め、3月は低めで、4月以降は平年並で推移する。

(2)説明

1月9日現在、黒潮は伊豆諸島東側、西側、室戸岬沖に小蛇行がある。1月下旬以降に伊豆諸島の西側にある小蛇行が東進し、御蔵島以南を通るN型になると思われる。その後2月後半〜3月にかけては、現在、室戸岬付近にある小蛇行が東進しB・C型または離岸型のN型で推移すると思われる。その後は、平成24年度第2回太平洋いわし類・マアジ・サバ類長期漁海況予報によると、都井岬沖に小蛇行が形成されないと予測されているため、N型になると見込まれる。 黒潮流型図

※平年並み=平年値±0.5℃程度、やや高め・やや低め=平年値±1.0℃程度、高め・低め=平年値±1.5℃程度、かなり高め・かなり低め=平年値±2.5℃程度。

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2.マサバの漁況

(1)予測(2013年1〜6月)

 (ア)来遊量と漁獲量

マサバ2歳魚(2011年級群)は前年を下回る。3歳魚(2010年級群)は前年を下回る。4歳魚(2009年級群)は前年を大きく上回る。マサバ全体としては昨年並。

 (イ)漁期・漁場

初漁は1月下旬以降に黒潮の流型がN型に移り、暖水が伊豆諸島北部海域(以下、「北部海域」という)へ波及したときに見られる。

漁場は北部海域(大室出し〜利島、ひょうたん瀬)を中心にマサバ主体に形成され、漁期中盤には三宅島周辺海域や銭洲でも形成される可能性がある。

 (ウ)魚体

マサバは3、4歳魚(32〜37cm)が主体に2歳魚(29〜33cm)も漁獲される。

※年齢は年初に加齢し2013年時で表す。魚体は尾叉長で表す。

 

(2)説明

漁期当初のマサバ推定来遊資源量・漁獲量

来遊資源は近年では加入量水準が高く、4歳魚としての残存資源量が多い2009年級群と近年では加入量水準が比較的高い2010年級群が主体になると考えられる。昨年6月末時点の資源量から12月末までのマサバの漁獲を差し引いて求めたマサバ推定来遊資源量(3歳魚以上と2歳魚の一部)は、昨年並と推定された。

従前の漁獲努力量レベルで操業されると、漁獲量は来遊資源量の0.4%(近年5カ年平均)であることから、昨年(2,145t)をやや上回ると算出される。しかし、北部海域へ暖水が波及しづらい海況と予測されることから、昨年並と考えられる。

したがって、今期の着業隻数は昨年より減少したので、一都三県の漁獲量は減少するが、一隻当たりの漁獲量は昨年並みとなる。

初漁日、漁場

鹿島沿岸〜犬吠埼沖で12月以降、まき網漁業の漁獲物は主に31cmにモードがあったが、12月上旬と1月上旬は34cmにモードがあった。ミゾ場で12月20日に千葉丸はハイカラ釣りによる調査を行い、その漁獲物は35〜36cmにモードがあった。勝浦沖で12月下旬以降、鴨川市漁協所属のハイカラ釣りの漁獲物は35〜36cmにモードがあり、12月から1月にかけて、35〜39cmの漁獲尾数が少なくなった。ヒョウタン瀬で1月6日に千葉丸は立て縄による調査を行い、漁獲物は36cmにモードがあり、36〜38cmが主体であったが、漁場の海面水温が14.3℃で、魚群が浮上せず、たもすくい漁場は形成されなかった(民間船も同漁場で操業し、概ね、同様な漁況であった。)。

以上のことから、35cm以上の大型群は房総半島沿岸域を南下し、北部海域へ来遊していると考えられる。しかし、初漁は北部海域において、16℃以上の暖水が波及したときに見られる傾向があるので、1下旬以降に黒潮の流型がN型に移り、暖水が北部海域へ波及した時に初漁になると考えられる。

2月後半以降、黒潮流路の変動に伴い、北部海域に断続的に暖水が波及し、当海域が主漁場になると考えられる。また、近年、産卵盛期に三宅島近海に漁場が形成される傾向がある。

魚体

伊豆諸島海域へ来遊するマサバは主に2歳魚以上である。昨年12月末時点のマサバ推定来遊資源量では、3、4歳魚の資源量水準が高く、今漁期の漁獲の主体になると考えられる。

漁期初めは大型魚主体で、以降は小・中型魚主体となる。漁期終盤には、例年のとおり再び大型魚の割合が増える可能性もある。

北上期

漁期終盤に大室出しへの暖水波及があるときは、北上が開始される。

マサバ写真

(3)マサバ資源管理

マサバの資源量は1990年頃から低迷が続いていたが、2004年と2009年群の比較的高い加入量と漁獲圧の低下により、両年級群が3・4歳魚まで資源の主体となったことで、低位ながらも増加傾向にある。未成魚は2011年級群と2012年級群であり、これらの加入量水準は2011年級群は低く、2012年級群は近年では比較的高いと考えられている。近年、未成魚に対する漁獲割合は低下しているが、マサバ資源の本格的な回復を図るためには、油断することなく2011年と2012年級群を保護することが必要である。

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3.ゴマサバの漁況

(1)予測(2013年1〜6月)

 (ア)来遊量

ゴマサバ1歳魚(2012年級群)の来遊量は、前年を下回る。2歳魚(2011年級群)は前年を上回る。3歳魚(2010年級群)は前年を下回る。ゴマサバ全体では前年をやや上回る。

 (イ)漁期・漁場

漁期を通じて三宅島周辺海域が主漁場となるが、マサバに混獲される場合は伊豆諸島北部海域及び銭洲にも漁場が形成される。

 (ウ)魚体

漁獲の主体は2歳魚(2011年級群:27〜31cm)、ついで1歳魚(2012年級群:24〜27cm)と考えられる。

※年齢は年初に加齢し2013年時で表す。魚体は尾叉長で表す。

 

(2)説明

(ア)来遊量

1歳魚(2012年級群)の加入水準は、予報会議によると16億尾であり、比較的高いと推定されているが、2012年7〜11月の棒受網による漁獲尾数は、加入水準の高かった2009年級群同期の32%であった。しかし、1歳魚の棒受網漁獲物に占める比率は、2012年7〜9月には8%であったものが、10〜11月には63%に急増しており、1歳魚が今後漁獲の主体となる可能性がある。

2歳魚(2011年級群)の加入水準は、予報会議によると9億尾であり、近年の平均程度と推定されている。また、2歳魚の2012年7〜11月の漁獲に占める割合は52%であり現在の伊豆諸島海域の漁獲の主体となっていることから、2歳魚が引き続き予測期間中の漁獲の主体となると考えられる。

3歳魚(2010年級群)の加入水準は、予報会議によると14億尾であり、近年の平均を上回っていると推定されている。しかし、3歳魚の2012年7〜11月の漁獲に占める割合は12%であったことから、今後当歳魚は漁獲の主体とはならないと考えられる。

4歳魚(2009年級群)の加入水準は、予報会議によると20億尾であり、近年では高く、2010〜2011年に漁獲物の主体となってきた。しかし、4歳魚の2012年7〜11月の漁獲に占める割合は、5%に低下したことから、今後4歳魚は漁獲の主体とならないと考えられる。しかし、10月中旬以降の伊豆諸島海域での体長測定結果では、9月までにはみられなかった34cm超の群が認められており大型魚を狙うたもすくいの漁獲には、4歳魚(2009年級群以上)も混じる可能性がある。

(イ)漁期・漁場

近年の棒受網・たもすくいによるゴマサバの主要漁場が三宅・三本周辺であること、及びマサバ漁場は主に伊豆諸島北部海域に形成されることから上記のとおり予測した。

(ウ)魚体

主体となる年齢については、上記(ア)来遊量の年級群ごとの加入水準、漁獲状況から予測した。魚体については、近年における棒受網の年齢別尾叉長モードから上記のとおり予測した。

ゴマサバ写真

注:本文中の年齢は全て2013年(平成25年)1月1日を基準とする。
注:1歳魚(2012年級群)、2歳魚(2011年級群)、3歳魚(2010年級群)、4歳魚(2009年級群)

 

なお、詳細とこれまでの経過と現況(海況、漁況)、漁期前調査結果については、「こちら」をご覧ください(PDFファイル)。

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