ここから本文です。

静岡県水産・海洋技術研究所


海況、資源動向の情報:一都三県サバ漁海況検討会

 待合室「ふきゅう」 パンくずリスト矢印 海況、資源動向の情報:一都三県サバ漁海況検討会 パンくずリスト矢印 平成21年1月〜6月の県内漁海況予測

一都三県サバ漁海況検討会(平成21年1〜6月)

平成21年01月09日:一都三県水産研究機関(東京都島しょ農林水産総合センター、神奈川県水産技術センター、静岡県水産・海洋技術研究所、千葉県水産総合研究センター)

1.海況

(1)黒潮(2009年1〜6月)

黒潮は、C型基調で推移する。 現在の極端なS字状の北上流路が、2月初めごろまで継続する。その後、安定した形のC型に戻り、4〜5月に一時的にB型流路となる。  野島沖では、接岸傾向が続き、流路の変動の前後に離岸する。  伊豆諸島北部海域は、「低め」基調だが、暖水波及時に「高め」〜「きわめて高め」となる。近年C型でも、暖水が波及することがある。

(2)説明

現在、黒潮は極端なS字状の北上流路を示すC型であるが、1月3日更新のFRA−JCOPEでは、2月初め頃までは、この流路が継続すると予測されている。 現在の、極端なS字状の北上流路は、房総沖合いの冷水渦が西進して、影響を受けているものと思われる。その後、通常のC型流路に戻ると思われる。 その後は、都井岬で2〜3月頃に一時的に離岸傾向になると予測されているため、その2〜3か月後の4〜5月に小蛇行は伊豆諸島に到達して、一時B型となり、その後C型になる。 最近C型時に伊豆諸島をS字状に北上して、房総沿岸に接岸する事例が多く観察される。現在もこの流型であり、三宅島付近を中心に、伊豆諸島北部に暖水が波及している(1月7日大室出しで17℃)。この海況は、1か月ほどは継続すると考えられることから、暖水が波及しやすい状況が続く。 その後、流路に変動があること、4〜5月に一時的にB型になること、また潮岬を数日単位の小さな冷水がたびたび通過している(直近では12月29日)ことから、その際の黒潮の流路変動に応じて、暖水が波及すると考えられる。 黒潮流型図

※平年並み=平年値±0.5℃程度、やや高め・やや低め=平年値±1.0℃程度、高め・低め=平年値±1.5℃程度、かなり高め・かなり低め=平年値±2.5℃程度。

▲画面トップにもどる

 

2.マサバの漁況

(1)予測(2009年1〜6月)

来遊量:マサバ1歳魚は前年を下回る。2歳魚は前年を上回る。3歳魚は前年を下回る。4歳以上は少ない。マサバとしては前年を下回る。

漁期・漁場:マサバ主体の漁場が形成される場合は伊豆諸島北部海域となる。

魚体:マサバは28〜32cm(2歳魚)が主体。  

(2)説明

マサバ太平洋系群の資源量は、加入水準の高い2004、2007年級群の発生により資源量は増加傾向にあるが、依然低水準である。2004年級群(5歳魚、推定加入尾数37億尾)はこれまでの漁獲の主体となったが、残存資源量は減少している。2005、2006年級群(4歳魚(同5億尾)、3歳魚(同1.7億尾))の加入量は低水準であり、その残存資源量は少ない。2007年級群(2歳魚)は、本年7月時点の加入量が24億尾と評価され、残存資源量も高水準であると考えられている。2008年級群(1歳魚)の加入量は、各種調査結果から最低ではないものの低水準である。 1歳魚(2008年級群)の加入量水準は低く、来遊量は多かった前年を大きく下回ると考えられる。2歳魚(2007年級群)の加入量水準は卓越年級群である2004年級群に準ずる高い水準と考えられ、来遊量は少なかった前年を大きく上回る。3歳魚(2006年級群)および4歳魚(2005年級群)は資源量が少なく、来遊量は前年を大きく下回る。5歳魚(2004年級群)は卓越年級群であったが、残存資源量は少ないと考えられる。なお、たもすくい漁業の対象となるのは、2歳魚の一部と3歳以上である。これらのことから、今期の漁獲の主体は2007年級群と考えられる。 黒潮流路がマサバの南下回遊に不利なC型で経過すると予測されていることから、多くは期待できない。しかし、近年のマサバ主体の漁場形成の状況から暖水が波及した場合、伊豆諸島北部海域に漁場が形成される。 マサバ写真

※年齢は2009年:魚体の大きさは尾叉長。

(3)マサバ資源管理

親魚量は2004年級群の高い加入により増加したが、続く2005、2006年級群の加入量水準は低く、2004年級群の残存資源尾数も減少している。2007年級群は2004年級群に準ずる加入水準の高い年級であると考えられる。今期は2歳魚であり、産卵への寄与はまだ低いが、今後のマサバ親魚資源の主体となる重要な年級群である。親魚量の減少を一時的なものにとどめ、マサバ資源の回復を図るためには、2007年級群の保護が必要である。

▲画面トップにもどる

 

3.ゴマサバの漁況

(1)予測(2009年1〜6月)

来遊量:ゴマサバ1歳魚は高水準であった前年を下回る。2歳魚は前年を上回る。3歳以上は少ない。ゴマサバとしては高水準であった前年並み。

漁期・漁場:ゴマサバは期を通じて三宅島周辺海域が主漁場となる。

魚体:ゴマサバは29〜34cm(2歳魚)が主体。  

(2)説明

ゴマサバ太平洋系群は、資源量は2004年級群(5歳魚、推定加入尾数30億尾)の高い加入量水準によって増加し、2005年にピークに達した後、2005、2006年級群(4歳魚(同4億尾)、3歳魚(同2億尾))の加入量水準が低いために減少してきているが依然高水準にある。2007年級群(2歳魚)の加入量は、近年の平均的な水準の7億尾を上回ると判断されている。2008年級群(1歳魚)の加入量は、各種調査結果から近年の平均を下回る低水準である。 1歳魚(2008年級群)はこれまで得られている情報から近年の平均を下回る加入量水準とみられ、来遊量は前年を下回る。2歳魚(2007年級群)はこれまで得られている情報から2004年級群に及ばないが2005、2006年級群を上回る加入量水準と推定され、来遊量は低水準であった前年を上回る。3歳(2006年級群)以上は、資源量が少なく、来遊量は前年を下回る。これらのことから、2歳魚主体で期を通じて近年の主漁場である三宅島周辺海域を中心に漁場が形成される。 ゴマサバ写真

※年齢は2009年:魚体の大きさは尾叉長

注:本文中の年齢は全て2009年(平成21年)1月1日を基準とする。
注:1歳魚(2008年級群)、2歳魚(2007年級群)、3歳魚(2006年級群)、4歳魚(2005年級群)、5歳魚(2004年級群)

 

なお、これまでの経過と現況(海況、漁況)、漁期前調査結果については、「こちら」をご覧ください(PDFファイル)。

▲画面トップにもどる

 

お問合せ先

静岡県水産・海洋技術研究所
〒425-0033 静岡県焼津市鰯ヶ島136-24
電話番号:054-627-1815,1816,1817,1818  FAX:054-627-3084  E-mail:suigi-web@pref.shizuoka.lg.jp