静岡県内における漁海況予測（令和7年1〜6月）

※令和6年度第2回 太平洋いわし類・マアジ・さば類長期漁海況予報会議の予測文を参照

令和6年12月26日　静岡県水産・海洋技術研究所　TEL054-627-1817

1.海況

(1) 黒潮
・大蛇行が継続し、Ａ型基調で推移する。
・ 蛇行北上部は、概ね伊豆諸島海域の西側に位置し、熊野灘〜遠州灘に近づくことがある。
(2) 沿岸域
・熊野灘〜遠州灘〜相模湾は、黒潮の接近や黒潮系水の波及に伴い暖水に覆われる。
・伊豆諸島海域は、概ね暖水に覆われる。
・熊野灘〜遠州灘〜相模湾の水温は、「平年並」〜「高め」で推移し、暖水波及時には「極めて高め」となることがある。
・伊豆諸島海域の水温は、概ね「やや高め」〜「極めて高め」で推移するが、八丈島周辺では一時的に「低め」〜「平年並」となることがある。

＜予測の説明＞

数値モデルでは少なくとも今後２か月は大蛇行が継続すると予測された。また、最近の流路変動も考慮し、黒潮は概ね伊豆諸島海域の西側を北上すると予測した。 水温については黒潮流路と本県沿岸水温の関係（A型>B型>N型>C型）を基に、気象庁の１か月予報や近年の傾向などを加味した。
＊平年並＝平年値±0.5℃未満、やや高め・やや低め＝平年値±0.5℃〜±1.5℃未満、
高め・低め＝平年値±1.5℃〜±2.5℃未満、極めて高め・極めて低め＝平年値±2.5℃以上

▲画面トップにもどる

2.マサバおよびゴマサバ

予測海域と漁業：伊豆諸島周辺海域（たもすくい網、棒受網）

(1)来遊量

マサバは前年を下回る。ゴマサバは低調であった前年並〜下回る。さば類全体としては前年を下回る。

(2)漁期・漁場

マサバ、ゴマサバともに期を通じて伊豆諸島北部海域が主漁場となる。

(3)魚体

マサバは27cm〜30cm（3歳魚）主体に、31cm以上（4歳以上）も漁獲される。ゴマサバは32cm以上（3歳以上）主体に漁獲される。

＜予測の説明＞

マサバ：伊豆諸島海域では産卵のために来遊する群れを漁獲対象としている。12月現在、前年同様に常磐沖の黒潮が北偏し魚群の南下が遅れている。このことから、予測期間の来遊量は前年を下回るとした。予測期間に黒潮流路はA型基調で、銭洲、三宅島付近を流れると予測されており、伊豆諸島北部海域が主漁場となる。魚体は近年の傾向から予測した。

ゴマサバ：ゴマサバ太平洋系群の資源量は減少傾向にあり、加入状況は低水準である。このことから、予測期間の来遊量は前年並〜下回るとした。漁場は期を通じて伊豆諸島北部海域が主漁場となる。魚体は近年の傾向から予測した。

▲画面トップにもどる

3.マイワシ

予測海域と漁業：駿河湾〜相模湾西部（まき網、定置網）

　(1)来遊量

前年を下回る
(2) 漁期･漁場

期を通じて駿河湾、相模湾西部で漁獲される。
(3) 魚体

期前半は、体長15〜20cmの1〜3歳魚(2024〜2022年級群)主体。期後半は、体長12cm以下の0歳魚(2025年級群)が主体となる。

＜予測の説明＞

予測期間は南下回遊する産卵親魚が主に漁獲されると考えられる。マイワシ太平洋系群の親魚量は前年を下回ると推定されているため、親魚量と本県の漁獲量との関係からは、来遊量は前年を下回ると予測した。漁期・漁場および魚体は近年の傾向から予測した。

▲画面トップにもどる

4.カタクチイワシ

予測海域と漁業：駿河湾〜相模湾西部（まき網、定置網）

(1)来遊量

低水準であった前年並
(2) 漁期･漁場

駿河湾ではほとんど漁獲されない。相模湾西部では期を通じて漁獲される。
(3) 魚体

被鱗体長8〜12cmの1歳魚(2024年級群)が主体となる。

＜予測の説明＞

漁獲対象となる1歳(2024年級群)の資源水準は前年に引き続き低水準と推測されることから、来遊量は低調であった前年並と予測した。漁期、体長は近年の傾向を参考にした。

▲画面トップにもどる

太平洋沿岸全体の予報については、水産研究・教育機構のホームページに掲載されています。