静岡県内における漁海況予測（令和6年8〜12月）

※2024(令和6)年度 第1回太平洋いわし類・マアジ・さば類長期漁海況予報会議の予測文を参照

令和6年8月2日　静岡県水産・海洋技術研究所

1.海況

（1）黒潮

  ・大蛇行が継続し、Ａ型基調で推移する。
  ・蛇行北上部は、概ね伊豆諸島海域の西側に位置する。

（2）沿岸域

  ・熊野灘〜遠州灘〜相模湾は、黒潮の接近や黒潮系水の波及に伴い暖水に覆われる。
  ・伊豆諸島海域は、概ね暖水に覆われる。
  ・熊野灘〜遠州灘〜相模湾の水温は、「平年並」〜「高め」で推移し、暖水波及時には「極めて高め」となることがある。
  ・伊豆諸島海域の水温は、「やや高め」〜「極めて高め」で推移するが、八丈島周辺では一時的に「平年並」となることがある。

＜予測の説明＞

   数値モデルでは少なくとも今後２か月は大蛇行が継続すると予測された。また、最近の流路変動も考慮し、黒潮は概ね伊豆諸島海
  域の西側を北上すると予測した。 水温については、黒潮の接近による暖水波及の影響及び黒潮流路と本県沿岸水温の関係（A型>
  B型>N型>C型）を基に、気象予報や近年の傾向などを加味した。

＊平年並＝平年値±0.5℃未満、やや高め・やや低め＝平年値±0.5℃〜±1.5℃、
高め・低め＝平年値±1.5℃〜±2.5℃、極めて高め・極めて低め＝平年値±2.5℃以上

▲画面トップにもどる

2.マサバおよびゴマサバ

予測海域と漁業　：　伊豆諸島周辺海域（棒受網、たもすくい）

(1)来遊量

マサバは低水準。

　　　ゴマサバは1歳魚は前年を上回る。2歳魚、3歳魚は前年を下回る。

　　　ゴマサバ全体としては低調であった前年を下回る。

　　　さば類全体としては低調であった前年を下回る。

(2)漁期・漁場

期を通じて伊豆諸島北部海域が中心。黒潮流路によっては、三宅島周辺、銭洲周辺海域にも漁場が形成される。

(3)魚体

ゴマサバは29〜37cm（2歳魚、3歳魚）主体に、24cm〜31cm（1歳魚）と33cm以上（4歳以上）も漁獲される。
※大きさは尾叉長

＜予測の説明＞

　（マサバ）

　　例年この時期は犬吠以北の海域のまき網、定置網での漁獲が中心であり、伊豆諸島周辺海域以西への来遊量は低水準である。

　（ゴマサバ）

  ゴマサバ太平洋系群の資源は、近年減少傾向にある。伊豆諸島周辺海域における棒受網による1〜6月のゴマサバ漁況は前年を下
  回っている。このことから7〜11月の来遊量は低調であった前年を下回ると考えられる。また、本県の棒受網漁船における今年1〜6月
  の年齢別漁獲尾数割合は、1歳魚は13%、2歳魚は32%、3歳魚は31%、4歳以上は24%であった。このことから、今予測期間中の漁獲主
  体は2、3歳魚で1歳魚は混じる程度と考えられる。4歳以上は既に残存資源量は少ないため漁獲主体とはならないと考えられる。0歳魚
  は例年9月以降に漁獲対象となるが、現時点で来遊量は予測できなく、また近年は水揚量も少ない。

▲画面トップにもどる

3.マイワシ

予測海域と漁業　：　駿河湾〜相模湾西部（まき網、定置網）

　(1)来遊量

　低水準であった前年並

(2)漁期・漁場

　期を通じて漁獲される
(3)魚体　

　10〜15cm前後(0歳魚)主体に漁獲される。　 ※大きさは被鱗体長

＜予測の説明＞

　　近年の傾向から、0歳魚が漁獲の主体となる。5、6月の0歳魚の漁獲状況は前年同様に低調であったことから、来遊量は低水準であっ
  た前年並と予測した。

▲画面トップにもどる

4.カタクチイワシ

予測海域と漁業　：　相模湾西部（定置網）

(1)来遊量

　低水準であった前年並

(2)漁期・漁場

 定置網に僅かに入網

(3)魚体

　10cm以下(0歳漁)主体に、10〜14�p(1歳漁)が漁獲される。　 ※大きさは被鱗体長

＜予測の説明＞　

　　近年、8月以降の定置網への入網は僅かであり、さらに近年は資源量が少ないため予測は困難である。ただし、近年の8〜12月は低調
  な水揚げが続いていることから、来遊量は低水準であった前年並と予測した。

▲画面トップにもどる

5.シラス

予測海域と漁業　：　遠州灘〜駿河湾（船びき網）

(1)来遊量

　8月は平年（2019年〜2023年平均）並み。9月以降は現時点で予測困難。

(2)漁期・漁場

　期を通じて遠州灘〜駿河湾で漁獲される。

＜予測の説明＞

　　潮岬〜遠州灘西部（伊勢・三河湾内を除く）における5〜6月のカタクチイワシ産卵量が少なかった年は、7〜8月のシラス水揚量が少ない
  傾向にある。2024年の産卵量は24兆粒で、前年（4兆粒）を上回るが、近年と同様に少ないことから、7〜8月の水揚量は平年並と予測し
  た。9月以降については、現時点で情報が無いため予測が困難である。

▲画面トップにもどる