静岡県内における漁海況予測（令和3年1〜6月）

※令和2年度第2回太平洋いわし類・マアジ・さば類長期漁海況予報会議の予測文を参照

令和2年12月24日　静岡県水産・海洋技術研究所

1.海況

（1）黒潮

大蛇行が継続し、一時的な流路変動はあるものの、概ねＡ型基調で推移する。

（2）沿岸域

・熊野灘〜遠州灘〜伊豆諸島北部海域には黒潮から暖水が波及することが多い。

・伊豆諸島南部海域は暖水域に覆われる。

・熊野灘〜遠州灘・駿河湾〜相模湾の水温は「平年並」〜「高め」で推移し、暖水波及時には「極めて高め」となることがある。

・伊豆諸島海域の水温は「高め」で推移する。

＜予測の説明＞

数値モデルでは今後２ヵ月は一時的な流路変動に伴いＡ型が解消するが、その後再びＡ型になると判断された。

黒潮内側域の状況については黒潮の接岸変動による黒潮系暖水波及の影響を考慮し、水温については黒潮流路と本県沿岸水温の関係（A型>B型>N型>C型）を基に、近年の傾向を加味した。

＊平年並＝平年値±0.5℃未満、やや高め・やや低め＝平年値±0.5℃〜±1.5℃未満、 高め・低め＝平年値±1.5℃〜±2.5℃未満、かなり高め・かなり低め＝平年値±2.5℃以上

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2.マサバおよびゴマサバ

予測海域　：　伊豆諸島周辺海域

対象漁業　：　たもすくい網、棒受網漁業

(1)来遊量

マサバ3歳魚（2018年級群）は前年を上回る。4歳魚（2017年級群）は 前年並。5歳魚（2016年級群）は前年を上回る。6歳（2015年級群）以上は前年並。マサバ全体としては前年並。ゴマサバは低調であった前年並。サバ類全体としては前年並。

(2)漁期・漁場

マサバ漁場は、漁期当初は伊豆諸島北部海域及び三宅島周辺海域となり、盛漁期には銭洲周辺海域にも形成される。期後半は伊豆諸島北部海域が主漁場となる。ゴマサバは三宅島周辺海域、銭州周辺海域が主漁場となる。

(3)魚体

マサバは尾叉長29〜35cm（4歳以上）主体に漁獲される。ゴマサバは尾叉長31〜36cm（3歳魚）主体に、25〜30cm（1、2歳魚）、33cm以上（4歳以上）も漁獲される。

※大きさは尾叉長

＜予測の説明＞

（マサバ）：マサバ太平洋系群の資源量は増加傾向にある。伊豆諸島周辺海域では成熟した4歳魚以上が主体で3歳魚も混じって漁獲され、未成熟魚が多い1〜2歳魚（2020〜2019年級群）は漁獲の主体とならない。漁場は、黒潮流路がＡ型で推移し八丈島西側、三宅島付近を流れると予測されていることから、漁期当初は伊豆諸島北部海域及び三宅島周辺海域に、盛漁期には銭州海域にも漁場が形成される。漁期後半には北上開始に伴い再び伊豆諸島北部海域が主漁場となる。

（ゴマサバ）：ゴマサバ太平洋系群の資源量は減少傾向にある。加入水準は1歳魚（2020年級群）が平年並、2歳魚（2019年級群）以上が近年の平均を下回る水準である。2020年7〜11月の漁獲物は0歳魚（2020年級群：明け1歳魚）が0％、1歳魚（2019年級群：明け2歳魚）が9％、2歳魚（2018年級群：明け3歳魚）が56％であった。今漁期の明け4歳魚以上は残存資源が少なくなっていることから、主体は3歳魚（2018年級群）と考えられる。

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3.マイワシ

予測海域と漁業　：　駿河湾〜相模湾西部（まき網、定置網）

　(1)来遊量

前年並

(2)漁期・漁場

期を通じて駿河湾、相模湾西部で漁獲される。
(3)魚体　

期前半は15〜17cm前後の2歳魚(2019年級群)が主体となり、13〜15cmの1歳魚(2020年級群)が混じる。期後半は12cm以下の0歳魚(2021年級群)が主体となる。

※大きさは被鱗体長

＜予測の説明＞

予測期間は本県沖合を南下回遊する産卵親魚が漁獲されると考えられ、2021年のマイワシ太平洋系群の親魚量の予測値は前年並であることから、来遊量は前年並と予測される。

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4.カタクチイワシ

予測海域と漁業　：駿河湾〜相模湾西部（まき網、定置網）

(1)来遊量

前年並〜下回る。

(2)漁期・漁場

駿河湾では散発的、相模湾西部では期を通じて漁獲される。

(3)魚体

8〜12cmの1歳魚(2020年級群)が主体となる。

※大きさは被鱗体長

＜予測の説明＞

漁獲対象となる1歳魚(2020年級群)の資源水準は前年に引き続き低水準であると推定されていることから、来遊量は前年並〜下回ると考えられる。漁期・漁場および魚体は近年の資源低水準期の傾向により判断した。

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太平洋沿岸全体の予報については、水産研究・教育機構中央水産研究所のホームページに掲載されています。