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静岡県水産・海洋技術研究所


海況、資源動向の情報:長期予報会議開催結果

 待合室「ふきゅう」 パンくずリスト矢印 海況、資源動向の情報:長期予報会議開催結果 パンくずリスト矢印 平成28年1月〜6月の県内漁海況予測

静岡県内における漁海況予測(平成28年1〜6月)

※平成27年度第2回長期漁海況予報会議における予測文を参照

平成28年1月22日 静岡県水産・海洋技術研究所

1.海況

(1)黒潮

1月はC型で経過し、2月上旬にN型となり、その後6月まではN型基調で推移する。

(2)沿岸域

遠州灘〜伊豆諸島北部海域には、一時的に暖水が波及する。水温は、「平年並」〜「高め」で推移する。

伊豆諸島南部海域は、2月上旬までは冷水域に、以降は概ね暖水域に覆われる。水温は、2月上旬までは「低め」、以降は概ね「高め」で推移する。

 

黒潮流型図

<予測の説明>

 現在の黒潮は、八丈島の南側を通過するC型流路である。伊豆諸島付近の小蛇行は2月上旬には伊豆諸島の東に進み、御蔵島の南を通過するN型(離岸傾向のN型)になると考えられる。現在、都井岬〜潮岬には小蛇行がみられないため、6月まではN型で経過すると考えられる。

 黒潮流路はC型、N型で経過するが、擾乱が多く通過するため、その時には黒潮内側域には暖水が波及すると予想される。また黒潮流軸域の海面水温も平年値より高くなっているため、暖水波及時には沿岸水温は高くなることが予想される。

 さらに、2014年夏に発生したエルニーニョ現象は、現在最盛期を迎えていて、2016年春まで続き、夏には平常の状態に戻る可能性が高いとされている。エルニーニョ期には、東日本の冬期・春期の気温は「高い」傾向となるため、気象の影響を強く受ける内湾域・極沿岸域では「高め」傾向となることが予想される。

 

※平年並み=平年値±0.5℃程度、やや高め・やや低め=平年値±1.0℃程度、高め・低め=平年値±1.5℃程度、かなり高め・かなり低め=平年値±2.5℃程度。

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2.マサバおよびゴマサバ

予測海域 : 伊豆諸島周辺海域

対象漁業 : 棒受網漁業、たもすくい網漁業 

(1)来遊量

マサバ2歳魚は前年を下回る。3歳魚、4歳魚は前年を上回る。マサバ全体としては前年を上回る。ゴマサバ1歳魚は、前年を下回る。2歳魚は前年並。3歳魚は前年を上回る。ゴマサバ全体としては前年並〜上回る。サバ類全体としては前年を上回る。

(2)漁期・漁場

マサバの漁場は、2月中旬以降、伊豆諸島北部海域を中心に形成される。三宅島周辺にも形成される可能性がある。ゴマサバは期を通じて三宅島周辺海域が主漁場となるが、マサバに混獲される場合は伊豆諸島北部海域にも漁場が形成される。

(3)魚体

サバは28〜32cm(3歳魚)主体に、32〜35cm(4歳魚)も漁獲される。ゴマサバは、28〜35cm(2、3歳魚)主体に、24〜27cm(1歳魚)も漁獲される。

※大きさは尾叉長

 

<予測の説明>

マサバ

 近年資源量は増加傾向にある。漁獲の主体となる3歳魚は成長が遅く、産卵成魚として伊豆諸島周辺海域に来遊する割合は近年より低くなる可能性が高いが、資源水準は卓越して高いため、来遊量は前年を上回ると考えられる。

ゴマサバ

ゴマサバ太平洋系群の資源水準は、1990年代以降高水準にある。今期は、前年漁期後半に漁獲の8割以上を占めた2、3歳魚が引き続き漁獲の主体となり、来遊量は年齢ごとの漁獲尾数と棒受網漁船のCPUEのデータから、前年並〜上回ると考えられる。また、2月以降、マサバの漁場形成が本格的になった場合には、マサバ主体の漁獲となるため、マサバに混獲される程度になると考えられる。

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3.マイワシ

<対象漁業> 

 成魚・未成魚(遠州灘〜相模湾のまき網、定置網)
 マシラス(遠州灘〜駿河湾の船曳網)

(1)来遊量

 (未成魚・成魚) 1歳魚(2015年級群)主体に前年並〜上回る。

(2)漁期

 (未成魚・成魚) 2月以降に漁獲される。

(3)魚体

 体長13〜15cmの1歳魚(2015年級群)が主体。

 

<予測の説明>

  2015年級群(1歳魚)は、国の行った秋季北西太平洋中層トロール調査で多獲され、2010年級群、2014年級群を上まわる高い資源水準と

  推定された。2015年級群が今期の漁獲の主体となることから来遊量は前年並〜上回ると考えられる。

※体長は被鱗体長

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4.カタクチイワシ

<対象漁業> 

 未成魚・成魚(遠州灘〜相模湾のまき網、定置網)
 カタクチシラス(遠州灘〜駿河湾の船曳網)

(1)来遊量 前年並〜下回る。

(2)漁期・漁場 (成魚・未成魚) 全期間にわたり、散発的。

(3)魚体 体長12cm未満の1歳魚(2015級群)が主体。

 

<予測の説明>

 カタクチイワシ太平洋系群の資源水準は中位で、動向は減少傾向と判断されている。駿河湾や相模湾で漁獲の主体となる道東〜常磐・房総海域より南下する2015年級群は、国が秋季北西太平洋中層トロール調査においては殆ど採取されず、資源量は少ないものと推定されていることから、来遊量は前年並〜下回ると考えられる。

 

 ※年齢は年初に加齢。(例)2015年1月〜12月生まれは、2016年1月1日に1歳となる。

    

 

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注:0歳魚(平成28年級群)、1歳魚(平成27年級群)、2歳魚(平成26年級群)、3歳魚(平成25年級群)、4歳魚(平成24年級群)

 

太平洋沿岸全体の予報については、水産庁のホームページに掲載されています。
「水産庁ホームページ」→「報道発表資料」→「平成26年12月分」→「平成26年度第2回太平洋いわし類・マアジ・さば類長期漁海況予報」へアクセスしてください。

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