静岡県内における漁海況予測（平成24年1〜6月）

※平成23年度第2回長期漁海況予報会議における予測文を参照

平成23年12月28日　静岡県水産・海洋技術研究所

1.海況

（1）黒潮

1〜2月に一時的にB・C型となるものの、4月前半まではN型基調で推移する。4月後半以降はB・C型となる。

（2）沿岸域

熊野灘〜遠州灘〜伊豆諸島北部海域は、1〜4月前半は概ね冷水域に入が、黒潮流路の変動に伴い、内側域への一時的な暖水波及がある。4月後半以降にB型になった時は、暖水が広く波及する。

海域	予測
遠州灘〜駿河湾	「平年並」〜「やや低め」。暖水波及時に「高め」。
相模湾	「平年並」〜「やや低め」。暖水波及時に「高め」。
伊豆諸島北部	「平年並」〜「やや低め」。暖水波及時に「高め」。
伊豆諸島南部	「平年並」〜「やや低め」。暖水波及時に「高め」。

＜予測の説明＞

　現在の黒潮は、N型であり接岸傾向で経過している。この傾向は4月まで継続するが、小蛇行の通過に伴い一時的にB・C型となり離岸傾向になることがある。現在九州東岸にある小蛇行は、4月以降に潮岬以東に移動するため、本県沖合では離岸傾向が強まる。沿岸水温は、黒潮内側域にあるときには冷水域の影響で「平年並み」〜「低め」となるが、暖水波及時には「高め」となる。

※平年並み＝平年値±0.5℃程度、やや高め・やや低め＝平年値±1.0℃程度、高め・低め＝平年値±1.5℃程度、かなり高め・かなり低め＝平年値±2.5℃程度。

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2.マサバおよびゴマサバ

予測海域　：　伊豆諸島周辺海域

対象漁業　：　棒受網漁業、たもすくい網漁業 

(1)来遊量

マサバ１歳魚は前年を（以下同じ）下回る。２歳魚は下回る。３歳魚は大きく上回る。４歳魚は前年並。マサバとしては前年並〜上回る。

ゴマサバ１歳魚は前年を（以下同じ）上回る。２歳魚は下回る。３歳魚は上回る。４歳魚以上は少ない。ゴマサバとしては前年を下回るが、３歳魚主体のため鮮魚用となる大型魚の割合が例年に比べ高い。サバ類としては前年並。

(2)漁期・漁場

伊豆諸島北部海域を中心にマサバ主体の漁場が形成されるが、本格的な漁場形成は遅れる。ゴマサバは期を通じて三宅島周辺海域が主漁場となるが、マサバに混獲される場合は伊豆諸島北部海域でも漁場が形成される。

(3)魚体

マサバは31〜37cm（３歳魚）主体に、30cm以下（１、２歳魚）や37 cm以上（４歳以上）も漁獲される。ゴマサバは30〜34cm（３歳魚）主体に、24〜31cm（１、２歳魚）も漁獲され、34cm以上（４歳魚以上）も混じる。

＜予測の説明＞

マサバ

マサバ太平洋系群の資源水準は依然低位だが、近年は増加傾向にある。
資源水準は、１歳魚は低く、２歳魚は比較的高く、３歳魚は高い、４歳魚以上は残存資源が少ない。今期の伊豆諸島海域では、３歳魚(平成21年級群)主体に前年並〜上回る漁が期待できるが、漁期初における黒潮のN型基調、野島崎沖における接岸傾向等から本格的な集群と漁場形成は遅れる可能性が高い。

ゴマサバ

ゴマサバ太平洋系群の資源水準は依然高位にある。
資源水準は、１歳魚が中位、２歳魚は比較的高く、３歳魚は高い、４歳魚以上は残存資源が少ない。今期の伊豆諸島海域では、３歳魚(平成21年級群)が平成23年に引き続き漁獲を支え、前年を下回る漁となるが大きく下回ることはない。また、例年に比べ大型魚の割合が高いと期待される。

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3.マイワシ

＜対象漁業＞　

成魚・未成魚：駿河湾〜伊豆東岸のまき網、定置網、伊豆諸島の棒受網とたもすくい

(1)来遊量

駿河湾では近年の中では高水準だが、前年を下回る。相模湾では前年を上回る。伊豆諸島では前年を上回る。

(2)漁期・漁場

駿河湾、相模湾では2〜6月、伊豆諸島では2〜4月に棒受網、たもすくいに混獲。

(3)魚体

駿河湾、相模湾では体長15〜18cmの1歳魚主体で、体長18〜20cmの2歳魚が混じる。伊豆諸島では体長19cm以上の2歳魚以上が獲れる。

＜予測の説明＞

全体として資源は増加傾向である。平成20年級群、21年級群の残存資源は少ないと見られる。22年級は卓越年級とされ、23年級群は東京湾以西の海域への加入量はかなり多いと考えられる。前年同期に20・21年級を漁獲した駿河湾では前年を下回るが、漁獲しなかった相模湾では上回る。伊豆諸島では平成22年以降の冬春期に親魚が混獲されている。

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4.カタクチイワシ

＜対象漁業＞　

成魚・未成魚：駿河湾〜伊豆東岸のまき網、定置網

(1)来遊量

成魚・未成魚： 前年並みか上回る。

(2)漁期・漁場

成魚・未成魚：駿河湾では4〜6月、相模湾では1〜6月。

(3)魚体

成魚・未成魚：体長10〜13cmの1歳魚および2歳魚主体。

＜予測の説明＞

資源は中位水準で横ばいである。漁獲対象となる平成22年級群は低水準、23年級群は沖合いに分布の中心があり中〜高水準と考えられるが沿岸への来遊状況の判断が難しい。今期は常磐・房総海域からの南下群を漁獲する。常磐房総海域の予測を参照し、北まき資源量指数と伊豆東岸定置網漁獲量の関係から判断した。

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注：１歳魚(平成23年級群)、２歳魚(平成22年級群)、３歳魚(平成21年級群）、４歳魚(平成20年級群）。

太平洋沿岸全体の予報については、水産庁のホームページに掲載されています。
「水産庁ホームページ」→「報道発表資料」→「平成23年度第21回太平洋いわし類・マアジ・さば類長期漁海況予報 」へアクセスしてください。