待合室「ふきゅう」 海況、資源動向の情報:長期予報会議開催結果 平成16年7〜12月の県内漁海況予測
静岡県内における漁海況予測(平成16年7〜12月) ※平成16年度第1回長期漁海況予報会議における予測文を参照 (1)黒潮 8月にA型となり、期間中持続する。 (2)沿岸水温 A型流路が持続することにより、暖水波及や内側反流が起こり、沿岸域は断続的に暖水に覆われる。
<予測の説明> 黒潮流路の蛇行は、都井岬南東沖で発生した小蛇行が遠州灘沖まで東進することによって生じる。本年2月に都井岬南東沖で形成され、4〜5月に四国沖で停滞し発達した小蛇行の東端は、7月初めに潮岬以東に移動し、7月上旬現在は、遠州灘沖を東進中である。この小蛇行の規模は大きく、蛇行の南端部は北緯32°N以南にまで達していることから、遠州灘沖の黒潮流型はA型になり、A型は長く持続する性質を有することから、期間中持続する。
対象漁業 : 伊豆諸島海域における、たもすくい・棒受網漁業
(1)来遊量 ゴマサバは2歳魚を主体に3歳魚も混じる。8月以降は0歳魚も加わり、前年をやや上回る漁が期待される。マサバは期待できない。 (2)漁期・漁場 三宅島を中心とする伊豆諸島海域に漁場が形成される。 (3)魚体 ゴマサバの体長は、31〜35cm(2歳魚)主体に34cm以上(3歳魚)が混じる。 <予測の説明> マサバ 2歳魚(2002年級群)の残存資源量は、2001年級群より多いと考えられ、前年を上回ると考えられる。10月以降は三陸南部から常磐海域以南で0,2歳魚を対象にまき網漁場が形成されるが伊豆諸島近海での漁場形成は期待できない。 ゴマサバ 2歳魚の加入量は比較的安定しているが3歳魚の残存資源は少ない。0歳魚の加入量も近年の中では比較的多いと推定されており、0,2歳魚主体に前年をやや上回る漁が伊豆諸島海域で期待される。
<対象漁業> 成魚・未成魚を対象とした遠州灘〜相模湾における、まき網漁業 (1)来遊量 比較的好調だった前年を下回る。 (2)漁期・漁場 全期間にわたり継続的に漁獲される。 (3)魚体 駿河湾では13〜16cmの0歳魚主体。相模湾では11〜15cmの0歳魚主体。 <予測の説明> 遠州灘〜駿河湾でのマシラスの漁獲は前年を下回る低水準だったものの、相模湾では早期発生群が多かったことが確認されている。春には相模湾で小羽が近年としては多く漁獲されており、6月の駿河湾においても0歳魚の漁獲が増加した。そのため、静岡県主要港における6月の水揚量は前年同期を大きく上回った。1歳魚以上は、漁獲が少ないことから、その残存資源量は少ないと推察される。これまで漁獲主体となっている0歳魚の資源水準は依然低水準にあるものの、紀伊水道外域、駿河湾〜相模湾では来遊量が前年を上回るとみられる。7〜12月も引き続き0歳魚が漁獲の主体となるが、比較的好調だった前年同期の水揚量は下回ると予測される。
<対象漁業> 遠州灘〜駿河湾のシラス船曳網漁業及び成魚・未成魚を対象とした遠州灘〜相模湾のまき網・定置網漁業 (1)来遊量 (シラス)駿河湾〜遠州灘では前年並み。 (2)漁期・漁場 駿河湾は全期間、相模湾は7〜8月が中心。 (3)魚体 (成魚・未成魚)駿河湾〜相模湾では体長 10〜12cmの1歳魚主体に8〜10cmの0歳魚が混じる。 <予測の説明> マサバ 4〜6月のカタクチイワシ産卵状況は好調であった。さらに4〜6月のシラス不漁に影響を与えていたと思われる四国沖の黒潮小蛇行が東進し、8月には黒潮流型がA型となり駿河湾〜遠州灘に暖水波及が多くなると考えられ、海況による悪影響が少なくなると思われる。 ゴマサバ 漁獲主体となる1歳魚は資源水準が平年並みと思われるが、2歳魚以上の漁獲が少なく、残存資源量は少ないと考えられる。0歳魚はシラスの水揚量が低調であったものの、シラス船曳網での未成魚の混獲が多く、今後定置網等で漁獲されると思われる。
注:0歳魚(2004年級群)、1歳魚(2003年級群)、2歳魚(2002年級群) |
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