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カジメ・サガラメの海を戻す (平成20年12月9日 掲載)

深層水で種苗を培養

磯焼け海域に移植するカジメ種苗(葉長約20cm)

磯焼け海域へ移植するカジメ種苗(葉長 約20cm)

今から20年前までは、駿河湾西岸の榛南海域にはカジメやサガラメ等の海藻が繁茂する藻場があった。「サガラメ」は「相良布」とも書き、旧相良町(現牧之原市)の地名に由来し、この新芽を味噌汁に入れたときのトロトロした食感を覚えている方も多いだろう。

しかし、昭和60年ごろからカジメ・サガラメなど沿岸海域に生息する海藻が減少し、海藻を餌としているアワビ等も採れなくなってしまう「磯焼け」と呼ばれる現象が発生した

藻場は海藻の生長に伴い、海水中のチッ素やリンなどを吸収することで海の富栄養化を防止し、光合成によって二酸化炭素を吸収するなど、環境保全の場としても重要な機能を持っている。

県ではこのような役割を持つ藻場の回復事業を積極的に展開している。例えば、天然のカジメ・サガラメが無くなった藻場を回復させるため、陸上施設で人工的に育てた苗(人工種苗)を移植している。人工種苗の生産には親となる母藻が必要だが、カジメは伊豆の沿岸域にあるものを、また、サガラメは県産のものが天然には無くなってしまったので、陸上施設で維持管理されてきた母藻を利用した。母藻から放出された胞子が成長した配偶体を培養器で殖やすことで、大量の苗の生産が可能になった。

また県水産技術研究所では、カジメ・サガラメの種苗の培養に駿河湾深層水を利用している。深層水は低温で安定しており、海藻の栄養源となるチッ素、リンを表層水より豊富に含んでいるため、表層水よりも早く効率的に種苗を生産できることが判明してきた。

(野田浩之・県水産技術研究所主任研究員)

 

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