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静岡県水産技術研究所


水技研らいぶらりぃ

 水技研らいぶらりぃ パンくずリスト矢印 水技研デジタルアーカイブス:さかなあれこれ パンくずリスト矢印 「海産魚」のウナギ

「海産魚」のウナギ (平成20年8月12日 掲載)

海流に乗り太平洋を"旅"

レプトケファルス
シラスウナギ

大海を旅するレプトケファルス幼生(上)とシラスウナギ(下)

今回の見出しを見て「えっ?ウナギは川の魚でしょ」と思う人も多いかもしれない。確かに、ふだん目にするウナギは川や湖などの淡水域にいる。ところが、ウナギは生まれるのも死ぬのも海なのである。

秋になると大きなウナギが川を下って海に出る。「下りウナギ」と呼ばれる親ウナギで、卵巣は大きくなって成熟が進んでいる。海に出た親ウナギがその後どこでどうしているのか、全くわかっていないが、一説に、伊豆諸島や小笠原諸島の海底火山伝いに南に向かっていくと言われる。

翌年の夏、グアムやサイパンなどがあるマリアナ諸島の西、北緯14度東経142度の地点に親ウナギが集まり産卵する。ここには海山(海面上には出ていない海の中の山)が3つあり、それを目印にしているのではないかと言われている。そして産卵後、親ウナギは死んでしまうらしい。

ふ化したウナギは10日ほどするとヤナギの葉のような形になる。レプトケファルス幼生と言い、産卵場を西向きに流れている北赤道海流に乗って流される。その間に幼生は成長し、フィリピンの東沖で黒潮に乗り換える。台湾沖で親と同じ体形のシラスウナギに変態し、東アジア各地の沿岸に向かい、12〜4月に各地の河川の河口に姿を現す。日本や中国、台湾の養殖ウナギは、この河口で捕れるシラスウナギを種とする。採捕を免れたウナギは河川を遡上し、川の生き物を餌に成長していく。それが天然ウナギで、次の親ウナギとなる。シラスウナギは人工的に育てることができないので、養殖ウナギは100%天然資源が頼りなのである。

(県水産技術研究所浜名湖分場主任研究員 吉川昌之)

 

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