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アサリ (平成20年2月5日 掲載)

採り過ぎず資源保護を

浜名湖の潮干狩り風景

浜名湖の潮干狩り風景

浜名湖でアサリの潮干狩りをしたことのある方は多いでしょう。アサリは浜名湖で最も多く漁獲され、大変重要な漁業となっています。今回は、アサリを守り育てるための取り組みを御紹介します。

アサリは全国各地で盛んに漁業が行われていますが、採りやすいために乱獲に陥りやすく、浜名湖でも乱獲により漁獲量が激減したことがあります。そのため、現在では厳しいルールの下、漁業が行われています。具体的な例を挙げれば「2.8cm以下のアサリは漁獲してはならない」「1日の漁獲は1人110kgまで」「操業は日の出から12時まで」などです。

これらの取り組みは現在も改善の努力が続けられており、昨年は夏の漁獲制限が行われました。アサリの漁獲は夏に集中するため、この時期に価格は下がってしまいます。また、大きく育つ前に漁獲してしまうことも問題でした。そこで、夏の漁獲量を1日1人66kgまでに制限し、秋以降の高価格な時期に大きくなったアサリを漁獲するようにしました。これにより、漁獲金額が増加し、また秋に産卵する親貝が増えたことで産卵量も増加したと思われます。

一方、今あるアサリ資源を保護しようとする取り組みも盛んです。その一つがアサリを食べる肉食性巻貝ツメタガイの駆除です。ツメタガイは近年、浜名湖内での生息数が激増し、その食害量は漁獲量に匹敵する年間2,500トンと推定されています。そこで、アサリと一緒に漁獲されるツメタガイの陸揚げと、ツメタガイの卵塊(砂茶碗といわれる)の一斉駆除を行っています。

アサリ稚貝の移殖も行っています。晩夏から初秋にかけて、浜名湖内の一部では酸素欠乏や有害赤潮の影響で、アサリが大量に死亡することがあります。そこで、あらかじめ春から初夏に他の安全な場所へ移殖し、そこを禁漁区にして保護しています。

これらの取り組みは、その方法についてもまだまだ改良の余地があると思われます。県の水産技術研究所では、現地の調査や室内実験などにより科学的な根拠に基づいた、より良い方法を提案し、漁業者と共にアサリ資源を守り育てていきたいと考えています。

皆さんも小さいアサリを採らないなど、守り育てる意識で潮干狩りをお楽しみください。

(県水産技術研究所浜名湖分場副主任・鈴木邦弘)

 

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