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サガラメ養殖 (平成19年11月6日 掲載)

―味、香り、粘り天然のよう―

サガラメが生長した養殖ロープ

サガラメが生長した養殖ロープ

収穫したサガラメ

収穫したサガラメ

かつて、駿河湾沿岸の吉田から御前崎までの榛南海域には、サガラメと呼ばれる大型の海藻が繁茂していました。サガラメはとろみが多く、トロロメなどとも呼ばれ、コンブ、ワカメ等と同じ褐藻類の一種です。

“サガラメ”は漢字では「相良布」と書き、相良(地名)に生えている「布(メ)」(“メ”とは大きな海藻、例えばワカメは「若布」)という意味で、新芽を味噌汁に入れたり、生長したものの葉を竹の子と共に煮物にして食べられていました。

しかし、昭和60年頃からこの付近の海域で海の砂漠化ともいわれている「磯焼け」が発生し、近年は全く収穫されていません。この海域に生息するアイゴという魚が、夏から冬の初め頃までサガラメなどの海藻類を食べてしまうことが原因のひとつとして考えられています。しかし、水温が低くなる冬場には、アイゴは海藻をほとんど食べません。

そこで県水産技術研究所では、食害が少ない冬場にサガラメの養殖を試みました。実験室内で糸に付着させた1ミリメートル以下の非常に小さなサガラメの“種”を、深層水を利用することにより、数ミリメートルの“苗”に育てました。この“苗”の付いた糸を養殖ロープに巻き、12月から牧之原市地頭方漁港内に垂下し養殖しました。冬の間、サガラメは順調に成長し、4月に収穫した時には葉の長さが25cm、幅5cm位の大きさになり、食用サイズとなりました。

収穫したサガラメの味、香りは以前に食べていたサガラメと同じでした。また、乾燥させた養殖サガラメを味噌汁に入れた時には、サガラメの特徴である粘りがあり、昔懐かしい味がしました。このように養殖サガラメが十分に食用となることが分かりました。今後、サガラメの養殖が普及し、皆さんの食卓に再びサガラメがのぼる日が近いかも知れません。

(県水産技術研究所深層水研究室副主任 二村和視)

 

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