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ホンダワラ類の藻場 (平成19年3月6日 掲載)

魚類はぐくみ、環境保全も

ガラモ場

写真(ガラモ場)

ホンダワラ類は褐藻類に分類される海藻で、気泡と呼ばれる浮き袋を持っているのが特徴です。国内に生育するホンダワラ類は約60種で、駿河湾にはこのうち20種が生育しています。日本人にとって親しみ深い海藻の一つであるヒジキもこのホンダワラ類に含まれます。ホンダワラ類の生育場所や大きさは種類によって異なりますが、主に水深10m以浅に生育し、大きなものでは8mほどの背丈になります。海藻の密生した場所を藻場と言いますが、そのうちホンダワラ類で構成される藻場のことをガラモ場と呼びます。

日本海沿岸の府県では、ヒジキのほかにもホンダワラやアカモクなどのホンダワラ類が食用とされていますが、県内ではヒジキ以外は食用とされていないため、ホンダワラ類の増減が直接水産業に大きな影響を及ぼすようなことはありません。

しかし、ガラモ場は多くの水産生物に生息環境としての場を提供しています。藻体はサザエやアワビの餌となり、また、他の海藻に付着して生育するモズク、エゴノリなどの有用な海藻の付着基盤になります。このほかにも、ガラモ場は魚類幼稚仔の摂餌場所であるとともに外敵からの逃避場所として、また、アオリイカやトビウオなどの魚介類の産卵場所として大切な役割を担っています。

このような生物的な役割のほかに、ガラモ場は海水中の窒素やリンなどの栄養塩を吸収することによって水質を浄化し、さらには、二酸化炭素を固定して地球温暖化の緩和にも役立っていると考えられます。

このように、ガラモ場は海の生物をはぐくむとともに環境を良好に保つ機能を持っています。近年、日本各地の沿岸では藻場が突然なくなってしまう磯焼けが発生し、問題になっています。磯焼けの原因は、海流の変化による環境変化、ウニやアイゴなどの藻食性生物による食害などさまざまです。水産試験場では、磯焼けが発生し持続する要因を調べ、ガラモ場が復活するための適切な対策を考えています。

(静岡県水産試験場伊豆分場技師 安倍基温)

 

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