水技研らいぶらりぃ 水技研デジタルアーカイブス:さかなあれこれ 海の天気図
海の天気図 (平成18年7月4日 掲載) 水温や潮流の変化示す
一見、波静かで穏やかな海も、水温や潮流は日々変化しています。特に、静岡県の沖には流れの強い暖流の黒潮が流れ、その変化によって暖水が沿岸域へ差し込んだり、冷水域が広がったりします。このような海の変化はカツオやイワシ、サバなどの漁場に大きな変化をもたらすため、漁業者にとって海の様子は大変気になります。そこで、水産試験場では、海況図(かいきょうず)、いわゆる海の天気図を作成しています。空の天気図は大気の様子を等圧線で描きますが、海の天気図では海の様子を等水温線で示します。 図は「一都三県漁海況速報」という海況図で、伊豆諸島海域を中心に水温や黒潮の様子が描かれており、この時黒潮が伊豆半島沖から伊豆諸島海域を北東方向に流れていることがわかります。 これは、東京都、千葉県、神奈川県及び静岡県の水産研究機関が共同で毎日作成しているものです。前日10時から当日10時までの漁船や観測ブイなどの水温情報をインターネットで集約し、人工衛星の水温情報も参考にして夕方までに作成し、直ちに漁業協同組合などにファックスで提供しています。一般の方々も水産試験場のホームページにアクセスしていただくか、ポーリング受信機能があるファックス機で水産試験場(054−629−7350、パスワード0000)にアクセスしていただければ御利用できます。 一都三県による海況図は昭和60年に始まり、5月末現在で第5228号となりました。本県では昭和53年6月から単独で海況図を発行しており、それを含めると実に7234号を数えます。これほど長期間にわたり毎日作成・提供されている海況図は、日本はもとより世界でも唯一といっても過言ではありません。毎日継続することが漁業者の方々にとって非常に大切で、高い評価を受けています。 昨年度からは、千葉県から和歌山県までの各県水産研究機関や大学などと共同で、より精度の高い海況図を作成する研究に取り組んでいます。高精度の海況図により、より安全で効率的に漁業が行われることとともに、海洋レジャーなど一般の方にもさらに利用が進むことを期待しています。 (県水産試験場主任研究員・萩原快次)
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