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ホトケドジョウ (平成18年5月2日 掲載)

絶滅防止へ保護対策

ホトケドジョウ

ホトケドジョウ

「泥鰌」と書いてドジョウと読みますが、文字が表すようにドジョウは水田や小川の泥の中にもぐって生活しています。ホトケドジョウも同じドジョウ科に属し、体長が5〜8cmと小さく、ドジョウに比べて頭が丸く太短い体型をしています。口ひげがあることから一応ドジョウの仲間には見えますが、棲んでいる場所がドジョウと異なり、山すその冷たいきれいな水が流れる細流で、泥にもぐらず石の下や草の根、水草の中などに隠れています。大きさが小さく数も少ないためか、食用にはされていません。

本県では伊豆地域以外の平野部、丘陵地に分布しています。人里近くの見過ごされそうな限られた環境に棲むことから、宅地造成や農業用水路改修などの開発により、近年では生息地が非常に少なくなっています。現在では国、県の絶滅危惧種に指定されてレッドデータブックに載るほどとなっています。

水産試験場では、開発整備が行われている地域から保護したホトケドジョウを飼育し、人工的に産卵・ふ化させ増殖することを試みています。希少生物を増やし放流することは、やり方次第ではその生物に悪影響を及ぼすこともあるので、その地域に棲むものを親にすることや、特定の親から多数の子供を増やさないこと、病気を発生させないことなど、注意深く行う必要があります。神奈川県水産技術センターで研究されている増殖方法を参考にして取り組んでいきます。

ホトケドジョウは高水温を好まないため飼育水を冷却する必要があります。物音に敏感で神経質な魚ですが、丸顔とずん胴な体つき、こちらをじっと見つめる丸い小さな目、底砂に頭を突っ込み餌を探す姿など、愛嬌のあるかわいらしい魚です。

絶滅危惧種と言われるものには、遠州灘海岸に産卵に来るアカウミガメや、桶ヶ谷沼のベッコウトンボ等の有名なものの他にも、ホトケドジョウのようにあまり目立たないものや、意外にもメダカのように誰もが知っているものもあります。多くは人間の住む場所の近くにいるものであり、このような生物にも目を向けて、それらの棲む環境を大切することは、人間の生活を守ることにもつながります。

(水産試験場利用普及部研究主幹 渥美敏)

 

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