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海苔 (平成18年2月7日 掲載)

浜名湖では主にあおのり養殖

海苔

浜名湖で養殖される「あおのり」ヒトエグサ(押し葉標本)

強い西風が吹き寒さが厳しい季節になると、浜名湖には、青色の湖面と緑色の海苔網のコントラスト鮮やかな景色が広がります。

海苔は私たちの食生活にとって身近な食材ですが、海苔として食べられているものにもいくつか種類があることを御存知でしょうか。日本で養殖されている海苔は、その外見の違いから「くろのり」と「あおのり」の二つに分けられます。海藻類は体内に持つ色素の違いや形態によって、緑藻類、褐藻類、紅藻類の三種類に分けられ、「くろのり」は紅藻類に「あおのり」は緑藻類にそれぞれ分類されます。

「くろのり」は、スサビノリと呼ばれる種類で、有明海や東京湾など日本全国で養殖されており、焼海苔や味付け海苔など主に板海苔として食べられます。平成十四年の農林水産省の統計によると、全国の養殖海苔生産量は板海苔で一一二・三億枚になり、そのうち「くろのり」が約一一一・八億枚と大半を占めています。一方、「あおのり」は、スジアオノリやヒトエグサと呼ばれる種類で、主に青粉や佃煮として食べられます。「あおのり」の生産県は少なく、スジアオノリは徳島県が、ヒトエグサは三重県が有名です。

県内で海苔養殖が行われているのは浜名湖だけです。浜名湖でも以前は「くろのり」が養殖されていました。しかし、昭和四十年代後半から五十年代に「くろのり」の全国的な供給過多による価格低迷や浜名湖内の環境変化による生育不良などが起き、一方、この頃ヒトエグサの人工採苗技術が確立されたことにより、以後は「あおのり」(ヒトエグサ)が主に養殖されるようになりました。

浜名湖で収穫された「あおのり」は、「混ぜ海苔」(「くろのり」を混ぜた板海苔)の他、「生海苔」としても出荷され、牡蠣と並んで浜名湖の冬を伝えてくれます。「あおのり」は香りが大変豊かで、「生海苔」のお吸い物や軽くあぶった「混ぜ海苔」の香りで心が踊るのは私だけでしょうか。

(県水産試験場浜名湖分場・佐藤孝幸)

 

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