水技研らいぶらりぃ 水技研デジタルアーカイブス:さかなあれこれ カツオ
カツオ (平成17年12月6日 掲載) 有効成分が多い加工残さい
カツオは静岡県に最も多く水揚げされる魚で、刺身のほか、鰹節、なまり節、缶詰、タタキ、佃煮など様々な加工品として消費されています。カツオは「勝魚」と当て字されるように縁起の良い魚ですが、栄養面から見てもタンパク質やビタミン類を豊富に含んでおり、さらに頭の働きが良くなると言われているドコサヘキサエン酸(DHA)の含量も高レベルにあります。 ところで、通常我々が食べている部分はカツオの筋肉部分(普通肉)で、これはカツオ全体の40%程度に過ぎません。残りの60%は加工工程で排出され(加工残さい)飼料や肥料の原料になります。このため、静岡県は全国有数の飼肥料産地でもあります。カツオ加工品製造過程で排出される部位のカツオ全体に占める割合を見てみますと、頭・骨などが37%、缶詰やタタキ加工の際に取り除かれている血合肉が8%、鰹節製造の際に取り除かれているはらも(はらす)が4%、内臓が8%となっています。水産試験場では以前にカツオ加工残さいの有効利用を図るために、これらに含有する有用成分の分析を行いました。その結果、全ての部位でDHAやEPA(エイコサペンタエン酸)、ビタミン類の含量が高く、特に血合肉はこの他にコレステロール低下作用などの機能があるアミノ酸の一種タウリン、高血圧予防効果のあるカリウムを多く含んでいました。現在のところ、これらカツオ加工残さいは頭部から魚油を抽出したり、中骨からカルシウムを製造するなど食用向けの利用はほんの一部にすぎません。その理由としては、毎日、大量にでてくる加工残さいを高品質で、かつ、必要な部位や成分のみを効率的に分ける方法が難しいことによると考えられます。 水揚げされたカツオを最大限に活かし有効利用するため、高鮮度を保持する技術や光センサーによる品質評価手法などとともに、加工残さいから効率的に有用成分を回収する方法や、それら成分の機能性食品への利用について研究を進めて行きたいと考えています。 (水産試験場利用普及部 主任研究員 平塚聖一)
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