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たたみいわし (平成17年5月3日 掲載)

たたみいわし

たたみいわしとは、イワシの稚魚であるシラスを生のまま干して、海苔状に天日などにより乾燥させた加工品です。かつてはい草の畳表を使用して天日干ししたことから、その名前がついたと言われています。古くは江戸時代末期から製造が始められましたが、明治時代以降になって盛んに製造されるようになりました。元来は全国各地で自家消費向けに製造されていたようですが、神奈川県の湘南から三浦半島付近で専門の加工業者が現れはじめました。現在でも、静岡市用宗地区および神奈川県での生産量が多く、静岡県では2003年に43トンが生産されました。これらは主に関東地方での需要が高いようです。

原料は厳選され、鮮度の良いものがたたみいわしの原料として用いられます。原料の鮮度が悪いと乾燥後のシラスの立体感に欠けて薄い紙状となり、商品価値が低下します。また、大きさも1〜2cm程度の中細で脂肪の少ないシラスが用いられます。

たたみいわしは生シラスをシート状に整形して乾燥させた加工品であり、釜あげしらすなど加熱したシラスでは乾燥してもシート状にはなりません。製造は、水槽で原料を竹の簀(す)の型枠に並べます。そして、水中で型枠全体に均一に広げますが、この広げ方に熟練を要します。紙すきを想像していただければ結構です。この型枠を水中から静かに取り出して、並べて天日乾燥または機械乾燥を行います。製品の形態は、以前はA4サイズのものが主流でしたが、最近は葉書サイズのものが多くなっています。食べ方は、軽く火で焙る、またはトースターで焼き、小さく刻んで醤油を少しつけておいしくいただけます。また、お湯を注いで醤油で味を調えてお吸い物にしたり、バターで炒めても良いでしょう。たたみいわし自身には調味が施されていないので、惣菜として工夫して調味すれば利用範囲は広いと思われます。

なお、たたみいわしは脂肪が少なく乾燥が十分に行われているため、家庭用の冷蔵庫等の暗所であれば長期間の保存に耐えられます。

(県水産試験場利用普及部 山内 悟)

 

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