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サバ (平成16年10月5日 掲載)

ゴマサバを試験養殖

サバ

マサバ(上)とゴマサバ

サバという魚は日本人に馴染みが深く、江戸期以前の古来より漁業の対象となっており、鯖寿司として食され、若狭湾から京の都へサバを運ぶ道は鯖街道と称されました。まさに日本の魚食文化を代表する魚の一つと言えるでしょう。戦後まき網漁業の発展により多獲され、より身近な大衆魚として親しまれてきましたが、近年、マサバの資源が減少し、大衆魚とも言えなくなってきました。

サバの仲間には、マサバによく似たゴマサバがおり、さらに沖縄方面にはグルクマという魚もいますが、静岡県近海で漁獲され食用とされるのはマサバとゴマサバです。大型のマサバは前述のとおり漁獲が減り半ば高級魚化していますが、ゴマサバはまだまだ近海での漁獲も多くて価格も安く、大衆的な魚と言えそうです。

ゴマサバの食べ方としては、寿司をはじめ、味噌煮、塩焼き等、マサバと同様に加熱や酢でしめて食されるのが一般的で、未成魚はさば節の原料にもなります。“サバの生き腐れ”とも言われるように鮮度の低下が早いため、県内ではあまり刺身として食べられていませんが、九州地方等では昔から生のまま刺身で食されていました。

近年、刺身用の高鮮度のサバは活魚等でかなりの高値で流通しているようです。安定的に高鮮度な魚を市場に供給するためには、需要に合せて活魚で出荷できる養殖は有効な手段です。マサバに比べて価格の劣るゴマサバであっても、養殖して活魚出荷することによって、かなりの付加価値向上が見込まれます。
マサバは近畿大学や大分県等で養殖試験が行われていますが、ゴマサバについての知見はあまり見あたりません。そこで、栽培漁業センターでは昨年からゴマサバの養殖試験を開始しました。回遊魚なので狭い生簀の中で大丈夫なのか少し心配しましたが、案外器用にくるくると回るように泳いでいます。新鮮でおいしいゴマサバの刺身が、広く食卓に上る日もそう遠くないかもしれません。

(県栽培漁業センター主任研究員 御宿昭彦)

 

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