水技研らいぶらりぃ 水技研デジタルアーカイブス:さかなあれこれ 魚の名前
魚の名前 (平成19年6月5日 掲載) 地域で種類や呼び方に違い
最近メロ(マジェランアイナメ)、ナイルパーチなど聞き慣れない名前の魚がスーパーなどで増えてきているのにお気づきでしょうか?これは、JAS法の改正に伴い平成15年3月にガイドラインが作成され、店頭で魚の名前を表示する際には基本的に標準和名(和名)や一般的に使われている名前を使用することになったからです。かつてメロは「ギンムツ」、ナイルパーチは「シロスズキ」という名前で売られていました。しかし、メロは日本にはいない深海魚の仲間で、ナイルパーチはアフリカの淡水に生息するアカメという魚の仲間であり、これらは日本のムツやスズキとはほど遠い仲間です。「ギンムツ」や「シロスズキ」では消費者に混乱を招くことから、一般的な名前で表記することになったのです。
標準和名は日本国内で共通の名前で、学術的にもこの名前が使われています。ある魚の名前を図鑑で探した時、別の名前で記載されていたことはありませんか?それは図鑑が標準和名を用いているからです。図鑑にない魚種名は、おそらく出世魚の成長途中の名前や、俗称や地方名などです。 俗称とは一般的に呼ばれている名前で、ブラックバス(標準和名:オオクチバス)はこれに該当します。地方名とはある地域で呼ばれている名前で、他の地域では通じないことがあります。県内の代表的なものでは「トンボマグロ」(標準和名:ビンナガ)、榛南地域の「ジンダベラ」(ヒイラギ)、伊豆地域の「ズガニ」(モクズガニ)があります。また地方名は同じ名前でも地域によって違う魚を指している場合があります。静岡県中部で「ハヤ」と呼ばれている川魚の標準和名はオイカワです。しかし関東ではこの魚は「ヤマベ」と呼ばれ、「ハヤ」はウグイのことを指します。さらにややこしいことに、「ヤマベ」は東北、北海道地方ではヤマメを指します。このように同じ名前でも種類も違えば値段も違ってしまうのです。 ガイドラインでは、地方名はその名前が通じる地域でしか使用できないことになりましたが、これも消費者が混乱しないようにという配慮によるものです。皆さんも名前の知らない魚を見かけたら図鑑を引いてみてはいかがでしょうか。 (県水産試験場技師 岡田裕史)
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