水技研らいぶらりぃ 水技研デジタルアーカイブス:さかなあれこれ ウナギ
ウナギ (平成15年8月5日 掲載) 成長遅いが雄より大きい雌
先月の土用の丑(うし)では、みなさんウナギを召しあがりましたか。ウナギを食べるとき、そのウナギがオスかメスかなどということをあまり気にすることはないでしょうが、今日はそのウナギのオスとメスの成長について少しお話します。 ウナギでは、オスよりもメスの方が大きくなることが昔からよく知られています。このためメスの方が成長が速いと考えられがちですが、体が大きくなることと、成長の速さは必ずしもイコールではありません。成長が遅くても成長する期間が長ければ、結果的に体は大きくなります。 ウナギは個体により成長速度が大きく異なります。養殖ウナギは通常200gが出荷サイズですが、同じ群の中に6か月でこのサイズに達するものから、1年6か月もかかるものまでいます。そこで、水産試験場で飼育しているウナギについて、飼育開始8か月後から2〜4か月おきに、体重が200g以上になったウナギを池からを取上げ、雌雄を調べました。ウナギの雌雄は外見からは分からないので、お腹を開いて卵巣があるか精巣があるかを見なければなりません。その結果から、図に示したように、成長の速いウナギはほとんどがオスであり、成長の遅いウナギになるほどメスの割合が増えていくことが分かりました。 おそらく、メスは成長速度は遅いものの、成長が止まることなく大きくなり続けることから、長期間飼育することによりオスよりもずっと大きくなるのだと思われます。かつて露地池養鰻(野外の広い池で時間をかけてウナギを養殖する方法)が盛んであった頃、2年3年と長く飼育した池のウナギを取上げると、よくその中に「大ボク」と呼ばれる大きなウナギがたくさんいましたが、そのほとんどはメスでした。こうした大きなメスは、長期間の飼育により成長したものだと思われます。 一方、オスは成長速度は速いものの、200gを超えたあたりから成長が鈍るため、たとえ長期間飼育しても大きくなることはないのでしょう。 (水産試験場浜名湖分場 主任研究員 吉川昌之)
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