水技研らいぶらりぃ 水技研デジタルアーカイブス:さかなあれこれ 南方からの訪問者
南方からの訪問者 (平成15年5月13日 掲載) 暖水波及で定置網に珍種
昨年は、黒潮から沿岸域へ温かい水が流れ込む「暖水波及」と呼ばれる現象が何度か起こりました。特に11月には顕著で、11月26日の駿河湾の沿岸水温は20℃以上で、この時期にしては特異的な高水温でした。このことが影響したのか、焼津の定置網には珍しい魚が入り、水産試験場に「この魚は何か調べて欲しい」と数種類の魚が持ち込まれました。 種類を調べてみると、いずれも南方系の魚や、普段は焼津の定置網に入ることのない魚でした。写真の魚はホシセミホウボウ(全長24cm)です。 この仲間は日本近海で3種が知られており、ホウボウと名前がついていますが、アマダイの仲間に近いと言う学者もおり、分類学上意見が分かれています。胸鰭が長く尾鰭の辺りまで達し、上から見るとセミのように見えることからセミホウボウと呼ばれています。漁獲量が少ないこと、美味ではないことから、あまり食用にはなっていないようです。ホシセミホウボウは西部太平洋からインド洋に分布し、日本では南日本に分布するとされていますが、焼津の定置網に入るのは珍しいことです。水産試験場のホームページ(以下HP)でも紹介していますが、この他に巨大な銀色の魚カライワシ、サバの仲間で日本では沖縄以南に分布するとされているグルクマなど、普段はお目にかかれない魚が漁獲されました。 また40cm近いギンガメアジも漁獲されました。本県では手のひらサイズがよく見られますが、この大きさのものが焼津で見られるのは珍しいことです。この魚は食用とされていますが、大きいものは毒を持っていることもあり1)、食中毒を起す危険があることから、市場では30cm以上のこの魚は販売しないことになっています 今年もまた珍しい魚がやってくるかもしれません。そのような折にはHPなどで紹介していきますので、皆さんも時々水産試験場のHPを覗いてみてください。 (水産試験場技師・岡田裕史)
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