水技研らいぶらりぃ 水技研デジタルアーカイブス:さかなあれこれ 駿河湾深層水
駿河湾深層水 (平成14年11月4日 掲載) 低密度の植物プランクトン
全国さまざまな場所に海洋深層水を汲み上げる施設があります。静岡県でも平成13年9月に新焼津漁港に取水施設が完成し、現在水深687mと397mから駿河湾の深層水を汲み上げています。 深層水とは、水深200mより深い場所にある海水の名前です。海の表面に降り注ぐ太陽の光も、この水深には届かない「暗黒の世界」にあるのです。したがって、生きるために光が不可欠な植物プランクトンが、その中に存在するとは当初考えられていませんでした。しかし、駿河湾深層水を詳細に調べてみると、生きている植物プランクトンが含まれていることがわかりました。その密度は、植物プランクトンが多い表層水に比べると1万分の1以下と非常に低い密度でした。しかし、光が当たる場所に置いておくと、深層水中に豊富に含まれる窒素や燐などの栄養分を使って増えていきます。同時に細菌類も増えていきます。したがって、植物プランクトンや細菌類などの微生物が非常に少ないことが深層水の特徴ですが、この特徴を維持させるためには保存方法に注意する必要があります。具体的には、光を当てないこと、なるべく温度をあげない(できれば冷蔵庫)で保存することです。 最新の研究によれば、水深687mの駿河湾深層水の年齢は千年以上であることがわかりました。つまり、現在の深層水は千年以上昔に出来たもので、現在海の中で作られている膨大な量の深層水の一部が千年以上の時を経て駿河湾深層水となることを意味しています。有害な化学物質が含まれていないことも深層水の特徴ですが、海を汚してしまうと、今はきれいな深層水でも千年後には汚染されてしまうのかもしれません。海の汚染を防止すること、これが千年後もきれいな深層水を利用するために必要なことだと思います。 (水産試験場深層水プロジェクト 花井孝之)
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