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ウニ (平成14年9月2日 掲載)

管足を使い吸着、移動

ウニ

岩礁域には体色や刺の長さの違うさまざまなウニが生息

皆さんは、ウニと聞いてまず何を思い浮かべますか?食べものとしてのウニ丼、軍艦巻きでしょうか。それとも棘(とげ)の付いた生き物ということでしょうか。皆さんがお寿司屋さんなどで食べているウニというのは、実は生殖巣(精巣や卵巣)の部分で、まだ未熟な時が食べごろ(主に夏が旬)とされています。また、写真のように体に多数の棘を持っていることから英名では、海のハリネズミを意味する名前が付けられています。

ところで、ウニの表面にはただ単に棘しかないように思われますが、実は棘だけではありません。

生きているウニを良く見ると分かるのですが、ウニは棘の間から伸縮自在の細い管のようなものを多数出してこれを海底面に吸着して移動します。これは管足と呼ばれており、棘とともにこれをうまく使うことにより、垂直な壁でも移動することができるのです。

管足にはさらに食物をつかんだり、流されないように体を固着したりするほか、呼吸や感覚機能も備えています。ウニにも当然、物を食べる口と排泄する肛門がありますが、どこにあるか分かりますか?実はウニの口は底面部中央に、肛門は頂上部にあります。ウニの口が下側にあるのは、主な食べ物である海藻をしっかり押さえて食べやすくするためとみられています。

私達の住んでいる静岡県の沿岸の岩礁域にも数種のウニが生息しており、潮間帯など、もっとも浅所の岩や転石の下には、棘の短いその形からバフンウニと呼ばれるウニが普通にみられます。また、それより深所の岩の隙間や溝にはアカウニやムラサキウニが生息しています。これらはいずれも食用可能なウニです。いっぽう棘が非常に長く鋭いガンガゼというウニもいます。このウニは、うっかり踏むと体の中で棘が折れて抜けにくくなり、ひどい激痛を伴います。

このように一口にウニといっても、岩礁域には体色や棘の長さの違うさまざまなウニが生息しています。皆さんも磯遊びをする機会がありましたら、一度生きたウニをじっくりと観察してみるのも面白いのではないでしょうか。

(静岡県水産試験場伊豆分場 山田 博一)

 

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