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にじますの森づくり (平成14年6月3日 掲載)

水資源保全に重要な役割

植樹作業の様子

植樹作業の様子

「にじますの森」と聞いて皆さんは一体どんな森を想像しますか?

平成12年の静岡農林水産統計によると、本県のニジマス生産量は2,383トンで、全国第一位でした。特に富士宮市は、県内養鱒業者の約8割が集まる全国でも有数のニジマス生産地域で、富士山の清浄で冷涼な湧水を使用して、ニジマスを養殖しています。しかし、近年その湧水量は減少傾向にあり、その原因は産業や生活のための取水量が増大したこと、山の保水力が低下したことなどといわれています。

こうした状況の中、最近では山・川・海の生態系は互いに密接に関連し、水資源の保全の上からも一体的な取組みが重要であると認識されるようになってきました。特に森林には貯水、水の浄化、砂防といった機能があり、森林からしみだす豊かな栄養分を含む水は、川や海へと流れ、良い漁場を形成します。

こうした考えのもとに、地元の養鱒業界が「自分たちの水は自分たちで守ろう」と立ち上がり、今年の3月10日には富士養鱒漁業協同組合が中心となって、「第1回にじますの森植樹祭」を開催しました。

当日は天候にも恵まれ、養鱒業者や一般の方々250名により落葉広葉樹の地元苗木3,500本が植樹されました。この植樹による水資源への効果については、富士山麓に広がる森林と比べれば微々たるものかもしれません。しかし、参加した方々は生き生きとした表情で、植樹作業に取り組んでいました。こうした姿をみると、漁業者自らが自然保護の意識を持ち行動したこと、漁業者・林業関係者・一般の方々との間で森づくりを通じて貴重な交流の出来たことには大きな意義があったと思います。

この事業は今年度以降も続けていきますが、単に木を植えるだけではなく、植えた木を大切に育てていくことが重要です。今後も漁業者が中心となって、植樹と樹木の管理を行っていきます。関心のある方は、今年度のにじますの森づくりに参加してみませんか。

(水産試験場富士養鱒場 技師 鈴木進二)

 

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