水技研らいぶらりぃ 水技研デジタルアーカイブス:さかなあれこれ ビンナガマグロ
ビンナガマグロ (平成14年5月6日 掲載) 商品価値低下招く出血抑制
ビンナガマグロは標準和名をビンナガ、別名トンボ、ビンチョウともいいますが、身が非常に軟らかく色が白いため、これまで刺身には不向きとされてきました。このため、焼津など一部の地域を除いて、刺身として生食されることはほとんどなく、主に油漬け缶詰(ホワイトミート)の原料になっていました。しかし、近年、回転寿司や持ち帰り寿司等で、脂の乗ったビンナガがリーズナブルなマグロトロの代用品として使われるようになり、ビンナガの刺身は一気に一般化しました。このことで、これまで脂の乗ったビンナガは缶詰には不向きなため厄介者だったのですが、一転「トロビン」として高値で取引されるようになり、時には本来の刺身用マグロ(メバチマグロやキハダマグロ)よりも高値となるケースもでてきました。 このようにビンナガは、今や漁業者にとっては非常に重要な魚となっています。しかし、生食されることによって、これまで加工用では余り問題にされていなかった刺身部の血痕やうっ血が、大きな問題になってきました。ビンナガは身が白いため、出血があると刺身が黒ずんでしまい、商品価値が下がってしまいます。そこで水産試験場では海洋水産資源開発センターと共同で原因調査と改善法の検討を行いました。 一本釣りで漁獲されたビンナガは、時には漁船の甲板に激しく叩きつけられることから、この出血の原因の一つは漁獲時の衝撃にあると考えられました。そこで、ゴムマットを敷いたり、キャンバスを張って衝撃を和らげるようにした魚と直接甲板に叩きつけられた魚の出血の程度を調べたところ、出血は魚体の前側(頭側)に多く、また、中骨周辺、血合肉との境など、衝撃の力が加わり易い部位に多いことが分かりました。こうした調査の結果、ゴムマットを敷くことなどにより、ある程度商品価値の低下を招く出血を抑えられることが分かりました。 (加工研究室 燒リ 毅)
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