静岡県水産・海洋技術研究所 浜名湖分場


魚病情報

 魚病情報 パンくずリスト矢印 アユの疾病 パンくずリスト矢印 ミズカビ病

ミズカビ病

<原因>

真菌性の疾病で、ミズカビ類のサプロレグニア属のカビが寄生繁茂することによって起こる。皮膚、鰓や鰭の損傷部や病変部にカビの胞子が付着し、寄生が成立する。やがて寄生部位を中心に多数の菌糸がはびこり、カビの集落を形成する。一般に低温性で、10〜18℃の範囲でよく発育するが、20℃以上になると発育が抑制される。

<症状>

初期症状では体表や鰭の先端に小さな白点が見える程度であるが、短期間のうち に症状が進行し、寄生局所に綿毛状の塊ができ、いわゆるワタカブリの症状を示す。最終的には組織内に侵入したカビによって表皮組織が崩壊し、アユは死亡す る。通常、病魚は衰弱して群から離れ、表層に浮上することが多い。
発病は、採捕、選別や輸送など、輸送やハンドリングの機会の多い稚魚によく見られる。成魚でもまれに見られるが、この場合は他の疾病の終息後など、何らかの原因でアユの側に感染しやすい要因があると考えられる場合に限られる。

<治療>

現在本疾病に対する有効な治療方法はない。ミズカビ病は二次的なものと考えられるので、一次要因をつくらないように予防することが大切である(<予防>参照)。  

なお、ミスカビの発育温度は一般に低いので、20℃以上に昇温できればカビの活力を低下させ、蔓延を抑制できる。

<予防>

一般に、無傷で健康な魚はカビの寄生を受けにくく、ミズカビ病の発生は何らかの要因が関わっている。その要因には、ハンドリングによる体表などの傷とストレス、急激な水温変動や環境悪化による皮膚の異常、他の疾病による病変患部の残存、過剰投薬による生理的悪影響などがある。したがって、本疾病の予防はアユの活力を減退させ、ミズカビの寄生をもたらすこれらの要因を排除することに尽きる。

<参考資料>

(魚類防疫技術書シリーズUアユの魚病((社)日本水産資源保護協会)より)

 

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