水産試験場 伊豆分場

研究のねらい

 イセエビは、浮遊幼生としておよそ1年間を沖合で過ごした後、沿岸にやってきて資源に加入すると考えられています。しかし、幼生期の生態については不明な点が多く、実際にどのようにして沿岸資源に加入しているのかはほとんどわかっていません。そこで、稚エビになる直前の段階のプエルルス幼生を継続的に採集し、いつ、どんな時に沿岸にやってくるのか調査しました。

研究の成果

 イセエビプエルルス幼生の採集は5〜11月にみられ、数日間にわたって大量に採集されるケースと1、2日間だけ少数が採集されるケースの2通りありました。プエルルスが大量に採集される時には、採集地である伊豆東岸へ向かう黒潮からの分枝流と高水温域の存在が確認され、月齢も新月を中心としていることが分かりました。しかし、少数が採集される時は分枝流や月齢と関係がありませんでした。プエルルス幼生は、黒潮からの分枝流や月齢に大きく影響され集団で沿岸に来遊してくるものと、それらの条件とは無関係に散発的に来遊してくるものがいて、集団で来遊してくるプエルルス幼生が沿岸資源に大きな影響を与えていると考えられます。


イセエビプエルルス幼生