水産試験場浜名湖分場

研究のねらい

 ガザミの資源の増大を目指して、人工的に生産した種苗を放流し漁獲回収する栽培漁業の試みが行われている。その放流効果を把握するために、有効な標識の開発と共に、漁獲物測定のデータを群分析することで放流群の漁獲尾数、漁獲量を推定し、漁獲回収量の算定を行っている。

研究の成果

 市場に水揚げされたガザミの全甲幅を測定し、その組成を群分析することにより、天然群と放流群を下図のように分離することができる。この結果から放流群の比率を求め、漁獲量に乗じることで放流群の漁獲尾数、漁獲量の推定を行った。この方法で求めた回収率は全放流尾数に対して約0.8%(平成4〜11年平均値)と推定された。また、回収される海域において全漁獲量中に占める放流群の割合は、回収期間中では約55%、年間では約16%(平成4〜11年平均値)であった。放流種苗の漁獲回収率は低いものの、放流群の漁獲量に占める割合は高いことが分かり、種苗放流の重要性が確認できた。


人工藻にいる放流用の稚ガニ(ガザミ)

 
市場における漁獲物測定


 ひとくちメモ


群分析:市場に揚がるガザミには昨年生まれたもの、本年早くに生まれたもの、本年遅くに生まれたものなどが混ざって漁獲される。当然、群ごとに全甲幅の組成に違いが生ずるので、この差をもとに群を区分けすることができる。