静岡県水産・海洋技術研究所 浜名湖分場


魚病情報

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クルマエビのPAV(急性ウイルス血症)

クルマエビの種苗生産や養殖で大きな被害を出しているPAVについて紹介

<原因>

ウイルス性の疾病で、原因ウイルスはバキュロウイルス科に近縁の新しいウイルスと考えられている。比較的大きな桿状(400×150nm)のDNAウイルスで、全塩基配列の解読が済んでいるが、培養細胞は樹立されていない。我が国ではクルマエビとヨシエビの症例が知られているだけであるが、世界的にはクルマエビ類のエビのみならず、多数の十脚類での感染例が知られている。

本疾病の伝播には、共食いの性質を有するクルマエビが同じ水槽中のPAVで死亡したエビを捕食することが大きく関与していることを示唆する報告が最近なされた。

<症状>

本疾病が発病したエビの外骨格には白点が認められる。病理組織学的には胃の上皮、造血組織あるいはリンパ様器官において細胞核が肥大無構造化し、末期には血リンパ中にウイルス粒子が多数認められるようになる。

<予防>

本疾病に対する治療薬は期待できないため、予防が何より重要であり、ウイルスに感染した種苗を持ち込まないことが肝要である。なお、ウイルスフリーの種苗を生産する技術が1998年ごろに確立し、養殖場における被害は近年減少している。

また、養殖場周辺のエビ・カニ類からの水平感染の恐れがあるようなところでは、それら感染源を除去し、飼育密度を下げ、免疫賦活剤を投与するなど、被害を最小限にとどめる努力が必要である。

<参考文献>

室賀清邦:クルマエビの急性ウイルス血症(PAV).養殖2002年10月号

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