静岡県水産・海洋技術研究所 浜名湖分場


魚病情報

 魚病情報 パンくずリスト矢印 アユの疾病 パンくずリスト矢印 グルゲア症

グルゲア症

<原因>

原生動物性の疾病で、微胞子虫の一種Glugea plecoglossiの寄生により発生する。感染は、病魚に形成された胞子が何らかの経路で水中に放出され、それをアユが経口的に取り込んで起こるが、皮膚や鰓からの感染もあるといわれる。本疾病による死亡は少ないが、商品としての価値は全く無くなる。

<症状>

乳白色で球形のグルゲアシストが体の各部位に形成されるのが特徴的な症状である。このシストの大きさは直径1〜3mm、大きいものでは5mmにもなり、これを押しつぶして検鏡すると、長さ5〜6?m、幅2〜2.5?m(1?m=1/1000mm)の楕円形をした胞子が無数に見られる。シストの形成される部位はほぼ全身的で、外観的には各鰭、皮膚や眼球に小突起を形成したり、あるいは眼球突出の症状を呈することもある。また、腹腔内では、脂肪組織、幽門垂、肝臓、脾臓や生殖腺など、ほとんどの臓器にシストが形成される。なお、外部症状が全く無いかあるいはわずかに見られる程度でも、内臓にはシストが多数形成されている場合も多い。

<治療>

現在のところ、発病してグルゲアシストが形成されたものに対する治療方法は全くない。ただし、感染していてもシストが形成されていないものについては、飼育水温を18℃以下にすることによって発症を抑えることが可能である。

<予防>

18℃以下の水温で飼育するとともに養殖施設の器材の消毒を徹底することにより予防が可能である。

本疾病の感染源は種苗由来といわれているので、種苗の移入にあたっては発病の有無を調べておく必要があるが、発症していないものについて感染の有無を確認することはまず不可能である。しかし、感染しているものでも18℃以下の水温で飼育すると発症しないので、種苗移入後の水温にはとくに留意する必要がある。

また、過去に発病した池はもちろん、未発病池においても、種苗移入に先立ち池や器材の消毒を徹底する。グルゲア胞子は乾燥、熱および塩素剤などに弱いので、天日乾燥を十分にし、必要があれば高水温(50℃以上)や塩素剤などによる処理を行う。

なお、一旦発病したならば、発病群の全個体を取上げ処分し池および関連器材を消毒することが望ましい。

<参考資料>

(魚類防疫技術書シリーズUアユの魚病((社)日本水産資源保護協会)より)

 

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