静岡県水産・海洋技術研究所 浜名湖分場


魚病情報

 魚病情報 パンくずリスト矢印 アユの疾病 パンくずリスト矢印 細菌性鰓病

細菌性鰓病

<原因>

細菌性の疾病で、病原細菌はフラボバクテリウムの一種である。この細菌は長さ5〜15μm(1μm=1/1000mm)の糸状の細長い菌で、毛髪が絡みついたような状態で鰓に多数繁殖する。それにより粘液の過剰分泌が起こり、呼吸機能が障害を受け死亡に至る。

<症状>

毎年春先の2月から5月頃にかけて発生することが多い。流行の盛期は3月頃である。発病してから死亡に至るまでが速く注意を要する。発病するアユの大きさは1〜10g程度の稚魚が多いが、秋口に60g前後の成魚にも見られることがある。
発病魚はまず摂餌が悪くなり、元気なく水面近くに浮き気味となってくる。鰓の多量の粘液のため、鰓蓋はやや開いた状態をしている。このような状態になると、アユは酸素欠乏状態となって死亡し始める。死亡魚はくの字型や波型に湾曲しているのが特徴的であり、体表の出血などはまったく見られない。

<治療>

発病の目安としては、摂餌が急に落ちるので、そのときは直ちに給餌を中止する。これに気づかずに餌を無理に与えると被害が大きくなるので、注意が必要である。
治療は塩水浴が有効で、広く行われている。方法は、まず注水を止め、並塩を1%(水1トンに対し10kg)の濃度になるように池内に直接投入し、1時 間薬浴させる。この場合、通常の池では並塩を大量に必要とするので、水深を浅くすれば使用量を節約できる。また、塩水浴は止水で行うため、事前に餌止めを し、酸素欠乏にならないよう水中ポンプなどを用いて酸素を供給する必要がある。処置が適切であれば、アユは見違えるように元気になり、摂餌も良くなる。通 常は1回の塩水浴で治まるが、再発することもあるので発病した池については観察を十分にしたほうが良い。
また、この疾病の発生時期はビブリオ病の発生時期でもある。ビブリオ病菌の発育最適塩分濃度が1%前後であることから、塩水浴時にはビブリオ保菌魚が混在していると発病が心配されるので、慎重に対処する必要がある。

<予防>

本疾病の原因菌は水中や底泥中に常に存在していること、過密飼育や池掃除が不十分な池で発生しやすいことなどから、本疾病の発生には飼育環境との関連が深いと考えられている。予防としては、過食と過密飼育を避け、環境の浄化に努めることが大切である。

<参考資料>

(魚類防疫技術書シリーズUアユの魚病((社)日本水産資源保護協会)より)

 

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