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静岡県水産・海洋技術研究所


海況、資源動向の情報:長期予報会議開催結果

 待合室「ふきゅう」 パンくずリスト矢印 海況、資源動向の情報:長期予報会議開催結果 パンくずリスト矢印 平成23年8月〜12月の県内漁海況予測

静岡県内における漁海況予測(平成23年8〜12月)

※平成23年度第1回長期漁海況予報会議における予測文を参照

平成23年8月8日 静岡県水産・海洋技術研究所

1.海況

(1)黒潮

8〜9月はN型基調で推移し、10月以降はB・C型となる。

(2)沿岸域

熊野灘〜遠州灘〜伊豆諸島北部海域は、概ね冷水域に入る。黒潮流路の変動に伴い、内側域への暖水波及が一時的に発生する。

海域 予測
黒潮流型図
遠州灘〜駿河湾 「平年並」〜「やや低め」。暖水波及時に「高め」。
相模湾 「平年並」〜「やや低め」。暖水波及時に「高め」。
伊豆諸島北部 「平年並」〜「やや低め」。暖水波及時に「高め」。
伊豆諸島南部 「平年並」〜「高め」。C型流路時には「平年並」〜「低め」。

<予測の説明>

 黒潮は現在N型流路で八丈島と三宅島の間を通過しており、8〜9月も蛇行が発達せずにN型基調で推移する。九州東岸では8月後半と11月に小蛇行が形成され、これが9月〜10月と12〜1月に四国沖に東進すると予測される。このうち、9〜10月の小蛇行は10月以降に潮岬以東へ東進すると考えられるため、10月以降にB、C 型になると予測される。沿岸水温は黒潮がN型基調の時は「平年並〜やや低め」で推移すると予測される。

※平年並み=平年値±0.5℃程度、やや高め・やや低め=平年値±1.0℃程度、高め・低め=平年値±1.5℃程度、かなり高め・かなり低め=平年値±2.5℃程度。

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2.マサバおよびゴマサバ

予測海域 : 伊豆諸島周辺海域

対象漁業 : 棒受網漁業、たもすくい網漁業 

(1)来遊量

マサバは、北上期のため漁場形成は期待できない。ゴマサバ0歳魚は前年並。1歳魚は前年を下回る。2歳魚は上回る。3歳魚は前年並。4歳以上は少ない。ゴマサバ全体では好調であった前年並。

(2)漁期・漁場

ゴマサバは期を通じて三宅島周辺海域を中心に漁獲される。

(3)魚体

ゴマサバが主な漁獲対象となり、27〜32cm(2、1歳魚)主体で26cm以下(0歳魚)も漁獲される。

<予測の説明>

マサバ

マサバ太平洋系群の資源水準は依然低位であるが、近年はやや増加傾向にある。0歳魚の加入水準は近年の平均をやや下回ると見込まれている。1歳魚の加入水準は比較的高い。2歳魚の加入水準は高く今期の漁獲主体となる。3歳魚の加入水準は低く、4歳魚以上は残存資源量が少ない。
今期は32cm前後(2歳魚)主体に、25〜32cm(1歳魚)、32〜40cm(3歳以上)も混じり、常磐〜三陸海域等にまき網漁場が形成されるが、伊豆諸島周辺海域での漁場形成は期待できない。

ゴマサバ

ゴマサバ太平洋系群の資源水準は、1990年代以降高水準にある。
0歳魚の加入水準は比較的高いと見込まれ、今期中に漁場加入がある。1歳魚の加入水準も比較的高く、本年1〜6月の棒受網での漁獲尾数割合は30%であり2歳魚に準ずる漁獲対象になる。2歳魚の加入水準は高く、同1〜6月の漁獲尾数割合は60%を超えており引き続き今期の漁獲主体となる。3歳魚の加入水準は低く、同1〜6月の漁獲尾数割合は4%弱であり今後多くは期待できないが前年並の漁獲となる。4歳以上は残存資源量が少ない。

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3.マイワシ

<対象漁業> 

成魚・未成魚:駿河湾〜伊豆東岸のまき網、定置網

シラス:遠州灘〜駿河湾の船曳網

(1)来遊量

成魚・未成魚:0歳魚については比較的高い来遊水準であるが、他の年級は低い来遊水準となる。漁獲量は前年並かそれを下回る。

シラス:12月に10%程度混獲。

(2)漁期・漁場

成魚・未成魚:散発的な漁場形成。

シラス:11月以降。

(3)魚体

成魚・未成魚:体長10〜18cmの0歳魚主体で、体長16〜20cmの1歳魚が混じる。

<予測の説明>

現在、静岡県海面で1歳魚以上を対象とした漁場形成はなく、これらの年級群を対象とした漁場形成は期待できない。定置網に入網している0歳魚が成長とともに旋網に漁獲加入してくる可能性があるとともに、11〜12月の南下群(1〜2歳魚)を漁獲する可能性がある。

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4.カタクチイワシ

<対象漁業> 

成魚・未成魚:駿河湾〜伊豆東岸のまき網、定置網

シラス:遠州灘〜駿河湾の船曳網

(1)来遊量

成魚・未成魚:前年並。

シラス:前年、平年を上回る。

(2)漁期・漁場

成魚・未成魚:駿河湾:漁場形成なし、相模湾:12月に定置網に入網

シラス:全期間

(3)魚体

成魚・未成魚:体長5〜10cmの0歳魚と体長10〜12cmの1歳魚

<予測の説明>

カタクチイワシ太平洋系群の資源水準は中位であるが、動向はここ5年間で横ばいである。シラスの今年の漁獲パターンは初夏不調パターンで、初夏(6月前後)の不調の後、夏以降漁況が回復する。5月下旬累積漁獲量と漁期漁獲量の関係から6月以降の漁獲量は5,800トンと予想され、前年、平年を上回る。また、未成魚、成魚が相模湾に予測期間後半に来遊すると見込まれる。その主体を占めると予想される2010年級群は中〜低水準と考えられている。

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注:0歳魚(平成23年級群)、1歳魚(平成22年級群)、2歳魚(平成21年級群)、3歳魚(平成20年級群)、4歳魚(平成19年級群)、5歳魚(平成18年級群)

 

太平洋沿岸全体の予報については、水産庁のホームページに掲載されています。
「水産庁ホームページ」→「報道発表資料」→「平成23年度第1回太平洋いわし類・アジ・さば類長期漁海況予報 」へアクセスしてください。

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