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ヒメマス (平成19年6月5日 掲載)

―歴史浅く難しい養殖―

ヒメマス

上:未成熟の2年魚(約20cm)、
下:成熟したオス(約40cm)

ヒメマスと言う名前をご存知の方は多いと思いますが、姿を見たことのある人は少ないでしょう。カナダやアラスカの川で、体の色が真っ赤なサケが川一面を埋め尽くしている映像をテレビなどでご覧になったことはありませんか?あの真っ赤なサケはベニザケという種類です。実は、ヒメマスは海と川を行き来していたベニザケが、海に下らず淡水で一生を過ごすようになったものなのです。

ヒメマスは体の側面が銀色で背中が青緑色をしており、背中と尾びれに黒い小さな斑点があります。湖に生息し、主にプランクトンを食べて3年ほどで20〜40cmに成長し、成熟します。成熟すると体は赤褐色に変化し、オスの背中は盛り上がります。そして湖に注ぐ川に上って産卵し一生を終えます。

日本の川ではベニザケはあまり見られません。ヒメマスは北海道の阿寒湖とチミケップ湖にいたものが天然分布とされています。この魚は、その名のとおり姿が美しいとともに塩焼きなどで食べると大変おいしい魚であることから、日本各地へ移殖され、北海道の支笏湖、青森県の十和田湖、栃木県の中禅寺湖など高地の湖に生息しています。明治時代に和井内貞行が十和田湖に移殖した話は伝記などで大変有名です。

近県では芦ノ湖、西湖、本栖湖に移殖されたヒメマスが生息し、県内でも昭和40年代後半に掛川市の溜池や大井川上流の畑薙第一ダムで試験放流が行われた記録があります。  ヒメマスの養殖は北海道や栃木県、山梨県、静岡県などで行われていますが、生産量は多くありません。ニジマスなどは長い間人工ふ化を繰り返すことで飼育しやすい性質を持つようになっていますが、ヒメマスは養殖の歴史が浅いためか飼育が難しい魚のようです。富士養鱒場でも数年前からヒメマスを飼育していますが、驚いて池の壁面に衝突したり、水質の変化で弱ってしまうものが出ます。

写真は養鱒場で育てたヒメマスで、上は成熟する前、下は成熟したオスのヒメマスです。この成熟したオスを見ると、やはりサケの仲間だなと実感させられます。養殖技術が確立し、県内でも早くおいしいヒメマス料理が食べられるようになればと期待は膨らみます。

(水産技術研究所富士養鱒場副主任 岡田裕史)

 

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