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深海性甲殻類 (平成18年4月4日 掲載)

深層水で生残率向上

イバラガニモドキ

イバラガニモドキ

日本一深い湾である駿河湾には、色々な深海性甲殻類が生息します。唯一駿河湾において漁獲の対象とされるサクラエビ、世界最大のタカアシガニなどのなじみ深いものから、ロブスターの仲間のアカザエビ、マルズワイガニとも呼ばれるオオエンコウガニ、タラバガニの仲間のイバラガニモドキ(写真:脚を伸ばして1m以上)など、あまりその名前を耳にしたことがないものまで、多くの有用種が含まれます。それらの生態に関しては不明な点が多く、飼育により生態の一端を解明しようと試みても、通常の表層海水では深海性甲殻類の飼育は困難でした。例えば、成体サクラエビでは1ヶ月程度が限界であり、タカアシガニの幼生ではほとんど成長しません。

そこで、水産試験場では、低水温性、清浄性等を特徴にもつ海洋深層水を飼育水に利用することにより、深海性甲殻類の飼育生残におよぼす影響について検討しました。上記5種の成体と、タカアシガニ、アカザエビの2種の幼生を、駿河湾深層水を用いて飼育しました。その結果、成体飼育における飼育生残日数は、通常の表層海水よりも海洋深層水を飼育水に使用することにより3〜12倍長くなり、タカアシガニ、オオエンコウガニ、アカザエビで680日以上(飼育継続中)、イバラガニモドキで370日以上(飼育継続中)、サクラエビで185日と、5種すべてで長期間の飼育が可能でした。海洋深層水の水温と同一に調節した表層海水で飼育した場合に比較すると、海洋深層水での生残日数が1〜6倍長くなりました。幼生飼育においても、海洋深層水で生残率が向上しました。特にサクラエビの寿命は約15ヶ月ですので、一生の1/3以上を飼育したことになります。

海洋深層水で深海性甲殻類を飼育、養殖、蓄養することによりその生残を向上させることができ、さらに清浄な海洋深層水なので食品としての価値も高まります。今後は、今まで謎に満ちていた深海生物の生態解明や、資源の回復・増大を目指した種苗生産と放流、新規甲殻類養殖産業や活魚・鮮魚のストックとしての利用、さらには水族館等における展示用など、海洋深層水の利用分野の拡大が期待されます。

(水産試験場 主任研究員 岡本一利)

 

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