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定置網 (平成18年3月7日 掲載)

急潮被害の防止対策急務

定置網

定置網

伊豆半島の沿岸を通っていると、海の上に浮きがまとまって浮いているのを見たことがあると思います。そこは定置網の設置してある場所です。

定置網とは、海の中に網を設置して魚が自然に入るのを待つ漁法です。図で示したように垣網で魚の移動経路を遮断して運動場に誘導します。魚はさらに奥の箱網に誘導され、漁業者は朝、箱網を上げて魚をとります。定置網は、受身の漁業であるので魚をとり過ぎず、乱獲になりにくい特徴があります。また、経営面では網が大きいため初期の設備投資は大きくなりますが、日々の操業は沿岸で行われるために燃油代などのランニングコストが少ないという相反した特徴があります。本県には水深50m以上の深い海に設置される大型定置網が15ヶ統あり、年間5千トン、15〜20億円の水揚げをあげています。

定置網の発祥は江戸時代と言われ、それ以降沿岸域各地で綿々と続けられてきましたが、自然災害の洗礼を受けることがあります。ちょうど陸上での嵐のように、海の中でも突然激しい流れが起こることがあります。この現象を急潮(きゅうちょう)と言います。陸上の嵐は人間社会に被害を与えますが、海の中の嵐=急潮で大きな被害を受けるのは定置網です。

平成14年11月下旬に駿河湾内で大型定置網が流失する被害が発生しました。定置網の流失時には秒速50cm(1ノット)の速い流れが観測され、急潮が発生していました。このときには、駿河湾内に黒潮系暖水が流入して潮位や水温が上昇しており、水温の上昇が駿河湾内を反時計回りに伝わったことが観測されました。これらのことから、この急潮は黒潮の一部が駿河湾東部から流入し、反時計回りに駿河湾沿岸部を移動したことによって発生したと推定されました。

定置網の急潮被害額は、一件あたり平均5千万円と多大であり、急潮被害の防止が望まれています。そのためには急潮の発生を事前に察知し、網の一部の引揚げや漁獲物の早急な水揚げ等の対策が講じられるようにすることが必要です。水産試験場では急潮の発生要因の解明と予測のための研究を進めています。

(水産試験場伊豆分場主任研究員 長谷川雅俊)

 

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