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サガラメ (平成17年4月5日 掲載)

種苗育成に深層水が効果

サガラメ

上がサガラメ、下左が雄配偶体、下右は雌配偶体

かつて駿河湾沿岸の吉田から御前崎までの榛南海域には、サガラメと呼ばれる大型の海藻が繁茂していました。サガラメはコンブ、ワカメ等と同じ褐藻類の一種で、海中林を構成します。海中林は、魚介類の生息場及び育成場として、また海藻自体も餌となり、沿岸生態系において重要な役割を担っています。「サガラメ」は「相良布」とも書き、地名である「相良」沿岸に生えている「布(メ)」("メ"とは大きく生長し、葉状の体を形成する海藻、ワカメ:若布)という意味で、以前は新芽を味噌汁に入れたり、生長した葉を竹の子と共に煮物にしました。しかし、昭和60年頃から海藻がなくなる"磯焼け"の現象が進み、現在、この海域ではサガラメをほとんど見ることができません。

普段私達が目にしているサガラメは、胞子体と呼ばれる葉状のものです。この胞子体から放出された胞子が生長し、顕微鏡下でしか見ることが出来ない非常に微小な糸状の配偶体と呼ばれる"種"になります。これには雌雄の区別があり、通常は岩などに付着し、その後、成熟・受精して再び胞子体となります。この"種"を人工培養下で採取し、種糸やコンクリートブロックに着生させ、発芽させることにより小さな胞子体である"苗"を得ることが出来ます。

駿河湾深層水には植物の生長に必要な栄養分である窒素、リンが豊富に含まれています。そこで深層水で"種"を育てたところ、通常海水の約2倍の速さで生長し、人工的に肥料分である栄養塩を添加した海水と遜色ない生長を示しました。また"苗"も深層水で育てた方が、通常の海水より生長が良いことが明らかとなりました。このため県水産試験場駿河湾深層水水産利用施設では、榛南海域の磯焼けを復元するため、深層水を利用してサガラメの "種"と"苗"を生産し試験的に移植しています。

(県水産試験場 技師 二村和視)

 

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