ここから本文です。

静岡県水産技術研究所


水技研らいぶらりぃ

 水技研らいぶらりぃ パンくずリスト矢印 水技研デジタルアーカイブス:さかなあれこれ パンくずリスト矢印 トラフグの栽培漁業

トラフグの栽培漁業 (平成17年02月1日 掲載)

標識放流で漁獲調査

トラフグの栽培漁業

放流サイズのトラフグ稚魚(全長8センチ)

この冬、何かと話題に上る「遠州灘のトラフグ」ですが、そのトラフグ漁に人工的に育てた稚魚を放流し成長してから漁獲する「栽培漁業」が一役も二役も買っていることを御存じでしょうか?この冬に漁獲されている小型のトラフグを調べたところ、約半分が放流魚であったことから、栽培漁業が遠州灘などのトラフグ漁を支えていると言って良いでしょう。

遠州灘などで漁獲されるトラフグは、駿河湾から遠州灘そして三重県熊野灘までの範囲を生活の場としています。そこで、静岡、愛知及び三重県の東海三県と独立行政法人水産総合研究センター南伊豆栽培漁業センターは、共同で“イラストマー”と呼ばれるシリコン樹脂製の標識を稚魚の胸鰭付近に着け三県の各地で放流し、栽培漁業の効果を高めるための調査を行っています。県内では駿河湾の用宗や相良地先、遠州灘の浜松地先等で標識放流を実施しました。標識の色によって放流場所が区別できるため、「どこに放流すれば最も多く漁獲されるのか?」つまり「放流場所はどこが良いのか?」が分かります。

これまでの調査の結果、初夏に放流した稚魚は、産まれて1歳半になる頃からはえ縄で漁獲されるようになります。このはえ縄漁期(10月から翌年2月)に、放流した稚魚が漁獲される割合(放流魚100尾のうち何尾が漁獲されたか)を調査したところ、静岡県内で放流した稚魚では、県内漁場で0.2%、三県の全漁場を合わせても0.7%でした。一方、愛知県の伊勢湾で放流した稚魚では、静岡県内漁場で2.2%、三県の全漁場では6.0%となり、静岡県内での放流よりも約10倍も高い効果がありました。さらに、この結果を基に放流経費と漁獲金額を比較すると、伊勢湾に放流した場合は静岡県内の漁獲金額だけでも黒字となりますが、静岡県内に放流した場合では、静岡県内だけでなく三県全体の漁獲金額を合わせても赤字になってしまうことが分かりました。

以上のことから、放流場所は静岡県内よりも、伊勢湾の方が適していることが分かりました。しかし、静岡県内でも浜名湖内に放流すれば、伊勢湾に匹敵する効果が期待できる可能性が出てきたため、現在新たな標識方法も取り入れ、調査に取り組んでいます。

(県水産試験場浜名湖分場 副主任 小泉康二)

 

さかなあれこれリストへもどる さかなあれこれリストへもどる

お問合せ先

静岡県水産技術研究所
〒425-0033 静岡県焼津市小川3690
電話番号:054-627-1815,1816,1817,1818  FAX:054-627-3084  E-mail:suigi-web@pref.shizuoka.lg.jp